法律コラム

夫が不貞、慰謝料請求はしたいけど、離婚したくない場合。【男と女の相談室】第10回

夫が不貞、慰謝料請求はしたいけど、離婚したくない場合。【男と女の相談室】第10回

2021.10.13

法律で解決できること=人生におけるハッピーエンドか、実は必ずしもそうは言い切れないことがあります。
 
権利やお金を獲得できたとしても、それが本当に自分が望む結果だったのか。
争いの渦中にいると見えにくくなることが、日々、ご相談を受けている中で大いにあり得ること。
ここでは離婚案件を得意とする水谷弁護士が、法律論から少し外れるかもしれないですが、幸せになるための本質的なお話をお伝えします。
多くの人生に寄り添ってきた彼女だからこそ言える、芯の部分が垣間見えると思います。

「里帰り出産中に夫が不倫。子供のためにも、私は別れるつもりはありません。」

ご相談内容●里帰り出産中に、夫が会社の後輩と不倫していたことが発覚しました。
子どもが生まれたばかりなので、離婚するつもりは今のところありません。ただ、出産直後の大変な時期に精神的ダメージが大きく、不倫相手に慰謝料請求をしたいと考えています。二人の親密な関係がわかる証拠もあります。先生はどう思われますか?

慰謝料は「躊躇なく請求に踏み切っていい場合」と「慎重に考えた方が良い場合」がある

離婚弁護士水谷の考え●お辛い思いをされましたね…。せっかく新しい家族が生まれて幸せなひと時を過ごせるはずが、修羅場になってしまった。
このやり場のない怒り、不倫相手に対する慰謝料請求の形で進めていきたいというお気持ちですね。
多くの弁護士事務所が即座に不倫慰謝料の請求に取り組んでいると思いますが、弊所としましては「躊躇なく慰謝料請求に踏み切っていい場合」と、「慎重に考えた方が良い場合」、この2パターンがあるとお応えしています。

不貞の慰謝料請求の現状と、得られる慰謝料の額とは

配偶者の不貞行為は「離婚事由」です。
だからといって、不貞=「離婚しなくてはならない」というわけではなく、「離婚することができる」というだけなので、当然、ご相談者様が納得していれば婚姻関係を継続することができます。(こちらの記事も参照ください)
 
里帰り出産中の不貞。許し難い一方で、ご相談者様のような、これから小さな命を育てていく方の場合はなおさら、離婚しない選択もあって当然です。
 
よく、芸能人の不倫などで、不倫をされたパートナー側に、記者などが詰め寄り「離婚はしないんですか?!」と聞いたり、「〇〇不倫。妻の〇〇は離婚せず」などと見出しを立てて報道されていますが、至極、失礼な話なのです。
 
実際に不貞の慰謝料裁判になった場合、得られる慰謝料の目安として
●離婚しない場合で50万〜多くて150万円
●離婚などに至る場合で、多くて300万
慰謝料請求は、夫と不倫相手の両方にも、どちらか片方にでもすることができ、ご相談者様のような、離婚は考えておられない方は不倫相手のみに請求することが多いです。

慰謝料請求と婚姻関係の継続、どちらを望むのか

ここで、いつも皆さんにお伝えしていることがあります。
慰謝料請求と婚姻関係の継続、あなたはどちらを望むのか。
不貞相手に慰謝料請求し、慰謝料を取得するということ=不倫を止めさせること、にはなりません。
   
もちろん、慰謝料請求をきっかけに「妻に対して、申し訳ないことをした」と反省し、不倫をやめて改心された方も大勢いらしゃいます。
しかし、必ずしもそういう相手ばかりではないのも事実です。
 
慰謝料請求という手段に出ることで、相手を逆上させてしまい婚姻関係を継続できなくなってしまったり、不倫関係の二人をさらに燃え上がらせてしまったり…。慰謝料はとれたけれども「自分が望んでいた結果とは、違う結果になってしまった」という可能性があることを、肝に命じておかなくてはならないのです。

心をつなぎとめておくことはできない

また、よくご相談があるのは、法律で「二度と不倫をしない」拘束力を持たせられないか、というもの。
日本の民法は、損害賠償を金銭によることを原則としているので「再度、間違いを犯したら〇〇円」という約束を取り決めることはできるのですが、実際、それを超えて拘束することはできません。
 
離婚事案を多く担当していて、いつも思うことがあります。
離婚や慰謝料のいわゆる家事分野の事案は、ご家庭のことがかかわるソフトな分野でありながら、実は、その中に多様な法律論が含まれており、その一つ一つに丁寧に対処しないと、ベストの結論を導くことはできないのです。
また、そうやって導いたベストの結論であっても、人の心と体を縛ることはどうしてもできないのです。
 
このようなことから、弊所では「単なる金銭請求」としてご案内することにはしておりません。
  
躊躇なく慰謝料請求に踏み切っていいのは「請求しても夫婦関係が揺らがない自信がある場合」か「請求するかしないかを問わず、すでに夫婦関係はこれ以上悪くならない確信がある場合」だけ、とご案内することにしています。
 
少なくとも、不倫にせよ、離婚にせよ、「一般的にはこういうことができます」というご案内だけをすることはありません。それぞれ事情も異なりますし、それぞれの人生。それぞれの価値観。多くの選択肢があって当然なのですから、そのご自身に合った答えを見つけるお手伝いを、全力でさせて頂きます。
  
コロナ禍がやまぬ中ではありますが、オンラインによる面談も対応しておりますし、ご相談者様のご事情やご希望を個別にお伺いし、「法律的にできること」だけではなく、ご相談者さまが「したほうがいいこと」と「しないほうがいこと」を明確にして、選択肢を持てるようにお伝えしています。

お困りごとは離婚弁護士にご相談を

弊所では弁護士事務所には珍しい、オンライン予約システムを導入しております。
サロン予約のように、ご希望の相談メニューとご都合の良いお時間帯をお選びいただけると好評です。初回のご相談は無料となっております。
こちらのページにあります「ご予約・お問い合わせはこちら」よりご予約ください。
  
もちろん、お電話でもご予約承っております。お電話での弁護士へのご相談は…℡03-3709-6605
法律的な見解はもちろんですが、さらにその一歩、相談者さまの人生に寄り添った形でお話させていただいております。ご相談がありましたら、お気軽に当事務所までご連絡ください。

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