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【ショートストーリー相続編】”隠れ養子”縁組無効訴訟②

【ショートストーリー相続編】”隠れ養子”縁組無効訴訟②

2020.02.27

実は珍しくない『養子縁組無効』の訴え

途方にくれた私は、弁護士に素直な気持ちを打ち明けた。

「先生、私は姉の遺産が欲しいのではありません。
しかしこのままでは姉が愛人との子を認めたことになってしまいます。
その子にも罪はありませんが、このままでは姉はうかばれません…。
私はどうしたら良いでしょうか?」

弁護士は神妙な面持ちで言った。

「こういった“隠し子”や“隠し養子”という事例は、そんなに奇異な話ではないのです。
今回のように『相続の時に発覚』してご相談に来られる方は、稀にいらっしゃいます。
とは言え、当のご本人たちはこの状況は初めてですし、全く理解も納得もできないお気持ちもよくわかります。

まずは先方に『相続放棄』を求め、だめなら『養子縁組無効』の訴えをおこしましょう」

絶望の闇の中にひと筋の光が見えた。そして弁護士は続けた。

「お姉さんに『養子縁組の意思がない』ということが証明ができれば良いのです。
『家業を継がせる』など理由があれば別ですが、お姉さんがその養子をとる動機が一切ないですから。
間接証拠を積み上げていきましょう。」

こうして、この養子縁組に対して無効を訴える戦いが始まった。

まずは弁護士が隠し養子本人に連絡をした。
相続放棄を求めたが、納得してもらえなかった。
会ったこともないであろう人の遺産を、どうして放棄できないのか理解に苦しむ。
やむを得ず、家庭裁判所に『養子縁組無効確認』を申し立てることになった。

無効とされる多くのケースは『当事者間に養子縁組の意思がない』場合。
人違いや今回のような『同意を得ない縁組届出』、『形式だけの養子縁組』などが該当するが、無効の主張は容易ではないと水谷弁護士は言う。

「私たちの戦う相手は養子の方と義理のお兄さんである宏さんです。
宏さん自身がお姉さんの『同意を得ていない』と自白してくれればいいのですが…。
それができないとなると、無効の審判を取るしかありません。
そのためには、とにかく客観証拠が必要になります。
それをどうやって集めるかが鍵となるのですが。

無効を取れないと一向に先に進まないので。
当時の状況などを調べつつも、お姉さんに養子縁組の意思がないという決定的な証拠が欲しいです」

こうして、私たちの『養子縁組無効』の訴えが始まった。(続く)

【もっとよくわかる!弁護士解説】
戸籍にすでに記載されている身分事項は、それが真実に反するものであっても、単に市役所・区役所に依頼するのでは容易に訂正することはできません。戸籍を訂正してもらうには、その旨の家庭裁判所での裁判書(さいばんがき)が必要になります。「養子縁組の無効」のほかにも、「婚姻の無効」「離婚の無効」「嫡出否認」「親子関係不存在」など、それぞれの身分関係について否定するための法的な手段が家庭裁判所に用意されています。これらの裁判は、当然ながら必ずしも簡単な裁判ではなく、過去の記録や、ご当事者さんの思いを踏まえ、慎重に審理されます。

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