法律コラム
中居さんスキャンダルからみる「日弁連ガイドライン」の「第三者委員会」とは【代表コラム】
代表弁護士の水谷です。
世の中で注目されている時事問題について、法律に関わる部分で解説したいと思います。
中居正広さんのスキャンダルとフジテレビの信頼失墜が、連日メディアを賑わせています。
フジテレビが日弁連のガイドラインにしたがって「第三者委員会」を設置したことが知られています。
今日はこの第三者委員会について紐解きたいと思います。
「第三者委員会ガイドライン」とは何か
正確には、これは日本弁護士連合会が2010年に策定した「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」のことでした。
これは、時代をさかのぼる2000年台、西武鉄道、カネボウ、ライブドアと相次いで粉飾決算事案が続いたことなどを受けて、日弁連が策定したものです。
「企業等から独立した委員のみをもって構成され、徹底した調査を実施した上で、専門家としての知見と経験に基づいて原因を分析し、必要に応じて具体的な再発防止策等を提言するタイプの委員会」
であるとされていますが、要するには、企業内でのガバナンス(監視、監督)がうまく機能しないなら、公平・公正な第三者である我々弁護士の出番ですよ…というものでありました。
背景にあるのは取締役(会)の機能不全
本来は、企業内での不祥事は、個々の取締役または取締役会において代表取締役を監視、監督されることにより防がれることが期待されています。
しかしながら、今回はフジテレビ社内では取締役、代表取締役レベルまで報告があがったのにもかかわらず、事実上これがここで“握りつぶされて”しまったために、本来監督すべき機関が機能不全に陥ったことが問題でした。「第三者委員会の設置」は、そのことを意識してのことかと思います。
9000万円という賠償額の持つ意味とは
女性への賠償額は9000万円と言われていますが、「口外禁止」に係るいわゆる口止め料相当額を上乗せしても、女性の精神のみならず身体にも害を及ぼした場合でなければ、支払われないはずの高額な賠償額です。
しかしながら、これを支払うことで、女性との間で民事的にも刑事的にも解決するなら、公表しないで済み、公表されることで中居さんの出演によりもたらされていた利益が失われるであろう額よりも、9000万円という支払額はむしろ低額で済み、「よりもはるかに経済的な解決である」と経営陣は判断したのであろうと予想されます。
9000万円の誤算と、株主代表訴訟のリスク
ところが、この決断をしたばかりに、番組の打ち切り、CMの契約解消、万博協会からの出稿見合わせ、とその損失額は月額レベルで数百億円に上ることになりました。
企業の粉飾決算の場合とは異なり、不祥事沙汰が性的な事象に係るものであったことから、企業会計上の適法性、公正性のみならず、社会的な妥当性の点までが広く世間の目に晒されることになりますから、そのインパクトは甚大なものとなりそうです。
第三者委員会の設置には、フジテレビの持株会社であるフジ・メディア・ホールディングスの大株主であるアメリカのダルトン・インベストメンツの要求が背景にあるともいわれています。
本件での著しい利益の損失はそのまま株価の低下に直結しますから、投資会社はそのことによって被った損害について、役員に対する「株式代表訴訟」の提起を検討し、そのための布石であった可能性もあるでしょう。
第三者委員会は、弁護士その他の専門士業、独立した第三者により構成され、改めて事案について調査(ヒアリング、証拠保全、その他)の上、調査報告書を起案するものとされています。
今後の調査の進行と調査結果の公表が期待されます。
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