法律コラム

離婚時のお金の疑問「ペアローン不動産」「年金分割」はどうすれば?財産分与について【離婚の基礎知識17】

離婚時のお金の疑問「ペアローン不動産」「年金分割」はどうすれば?財産分与について【離婚の基礎知識17】

2023.01.21

これまで多くの家事裁判を担当してきた弊所代表・水谷弁護士が、離婚の基礎知識をシリーズで解説しています。
今回は離婚の際に生じる「財産分与」について。
特に「ペアローン」や「年金分割」について、解説いたします。

財産分与=夫婦の共有財産を「半分ずつ分けること」

財産分与とは、婚姻中に形成した「夫婦共有財産」を半分ずつにすること。
 
「夫婦共有財産」というのは、結婚中に稼いで築いた財産。
夫婦のどちらかが専業主婦または主夫の場合には、それは他方が築いて得た財産に対して「内助の功」があることになりますので、離婚時にはこれを半分にするのです。
 
具体的には、結婚時の①預金残高、②株式など、③保険の解約返戻金、④不動産、⑤車両、⑥ローンなど。
これらの総資産に対して、別居時の①~⑥の総和を比較して、上昇額を出し、これを半分ずつに分ける(多いほうから少ない方にする)ことになります。
 
たとえば、結婚時の夫の預貯金が100万円、別居時が1000万円で、妻の預貯金が500万円から600万円になっていれば、夫は900万円、妻は100万円の合計1000万円増えていますので、これを500万円ずつ分けます。ですので、夫は妻に400万円(500-100)を渡すことになります。

ご相談の多い「ペアローン不動産」はどうするのか

財産分与のなかで、よく問題となるのが共有不動産、「ペアローン不動産」です。
 
結婚に伴って共有で不動産を買うことも多いのですが、離婚したのになお共有にしていては、一方だけで売ることもできなくなります。
そこで、共有不動産については、「売って分ける」か「寄せて分ける」かを決めていただくことが多いです。
  
売って分けるのは、文字通り当該物件を第三者に販売して、売却代金を分け合うこと。
寄せて分けるのは、一方が物件の所有権(及び可能な限りローンも)を引き取り、半分を超えて引き取った部分について買い取り価格相当額(=代償金)を支払うことになります。
 
財産分与は離婚から2年の間でなければ、受け取ることができなくなります。
財産分与は、もらう方には贈与税はかかりません。
 
感覚としてつかみづらいのですが、金銭支払いに代えて不動産を譲渡した場合、譲渡した側に、金銭支払いを免れた利益として「譲渡所得税」が課税される場合があるので、こちらもご注意ください。

年金分割について「3号分割制度」の注意点

年金分割は、婚姻期間中の厚生年金加入部分について、夫婦でこれを分け合うものです。
 
国民年金+厚生年金の2階建て方式のうち、2階部分のみを分けます。1階部分の国民年金を分けるものではないので、注意しましょう。
 
今は「3号分割」という制度がありますので、配偶者との合意がなくても3号被保険者の方(つまり、ずっと社会保険上の扶養にあった方)については、離婚後に年金事務所に行くと手続きをとることができます。
 
しかしながら、3号分割で分けることができるのは、「平成20年4月1日から離婚までの期間で、3号被保険者だった方」のみ。

ですから、平成20年3月までの期間分については分けることができず、3号被保険者でなかった方(扶養はされていなかったが、配偶者と収入格差がある場合)については、3号分割の手続では年金を分割することができません。

「合意分割」をとる必要がある

これらの制限のため、「合意分割」による必要が多くあります。合意分割をするには、以下の3つの方法があります。
 
①離婚後にできたら夫婦が同席の上で年金事務所に行き、所定の用紙に記入して申請する
②年金分割について公正証書に記載してもらい(ただし、公正証書内に双方の生年月日、年金番号が記載されていることが必要)おって年金事務所に行く
③家庭裁判所で年金分割について取り決めてもらい、その成立調書をもって年金事務所に出す

年金分割は「2分の1ルール」と言われ、結婚はしたが同居の実態がほとんどなかったとか極端な場合を除いては、ほとんどが50:50で分けられるのが慣例です。
 
こちらの「合意分割」も、財産分与同様、離婚から2年以内に手続しないとできなくなってしまうので、よく覚えておかなければなりません。
  
なお、年金分割の手続きをしても、実際にそれを受け取れるのは自分が年金受給年齢に達してからであり、分割した時ではありませんのでご注意を。

財産分与で迷ったら…お困りごとは弁護士にご相談を

 些細な質問でも構いません、まずは離婚弁護士にお気軽にご相談ください。
    
弊所では弁護士事務所には珍しい、オンライン予約システムを導入しております。
サロン予約のように、ご希望の相談メニューとご都合の良いお時間帯をお選びいただけると好評です。
こちらのページにあります「ご予約・お問い合わせはこちら」からご予約ください。
    
もちろん、お電話でもご予約を承っております。お電話での弁護士へのご相談は…℡03-3709-6605
       
法律的な見解はもちろんですが、さらにその一歩、相談者さまの人生に寄り添った形でお話させていただいております。ご相談がありましたら、お気軽に当事務所までご連絡ください。

ご予約・お問い合わせ

「ご相談者様の明日の幸せのために」
「人生に寄り添った仕事がしたい」
そんな熱い思いを胸に全力を尽くして取り組んでおりますので、
まずはお気軽にご相談くださいませ。