法律コラム

退職金、年金…気になる「財産分与」のあれこれ【離婚への道】第3回

退職金、年金…気になる「財産分与」のあれこれ【離婚への道】第3回

2021.04.27

前回に引き続き、気になる離婚時のお金の問題について。
 
よく、芸能人の離婚ゴシップなどで「慰謝料〜千万」みたいに報道されているのは、実際には厳密な意味での「慰謝料」ではなく、「財産分与」としてのものであることが多いです。
 
今回は「財産分与」について、詳しく解説いたします。

財産分与にある2つの意味とは

夫婦間の「財産分与」とは、婚姻後に形成された夫婦の共有財産を分配すること。
預貯金や共有不動産、保険などが分配の対象になります。
それぞれの貢献度に応じて分配すべきこととされていますが、分与の割合は1/2ずつが基本。
  
そして、財産分与は2種類の意味合いがあります。
 
①離婚原因とは関係なく、離婚に伴う夫婦間の財産関係の清算=清算的財産分与
②扶養的な意味での財産分与分が認められる場合=扶養的財産分与
 
①の場合、たとえ離婚の原因を作ったのが妻からであっても、離婚について合意する以上、夫から財産分与を受け取ることも可能となります。
②の場合、専業主婦や高齢者、もしくは病気の場合など、離婚すると元配偶者が困窮してしまう場合に適用されます。

これら二人の間で分け方について同意ができれば、必ずしも半分ずつでなくてもOKなので、お金だけではなく「不動産を譲ってもらう」「居住権を認めてもらう」などさまざまな解決方法があります。
 
財産分与の請求には、離婚してから2年以内という期間制限があるので気をつけましょう。

熟年離婚の場合、気になるのが…退職金

財産分与と関連して、退職金や年金が分配の対象になるのか、そこも気になりますよね。
熟年離婚が増えてきた昨今、この二つは、配偶者の今後の生活の糧になるものです。
 
退職金について財産分与で分配を受けるには、支給が確実であると見込まれていることが必要になりますので、配偶者にある程度の勤続年数があり、退職すればその金額が支給される見込みがあることが必要になります。
なお、必ずしも、退職金の全額が対象になるわけではなく婚姻期間に応じた金額が対象となります。
 
裁判例では、2種類あります
①今、自主退職した場合に受け取る退職金を、現在給付で婚姻期間に応じ分ける
②定年退職した場合に受け取る退職金を、将来の給付として分ける
 

年金は婚姻期間中の納付実績に応じて

年金の分割は、婚姻期間中の厚生年金の保険料払込期間に応じて、その1/2の割合で行われます。
平成19年以降に結婚した方は「3号分割」により当然に3号被扶養者は一律2分の1の分割を受けることができます。
これ以前の場合は「合意分割」となりますから、当事者間で合意が形成されることが必要になります。
 
年金分割をすると「将来受け取る年金の半分がなくなる(もらえる)の?」と思う方も多いようですが、そうではありません。
2階建ての年金の1階部分である『国民年金』や、3階部分である『厚生年金基金・国民年金基金』は対象外となります。
また厚生年金部分についても、婚姻期間中の納付実績に対して分割するので、将来受け取る予定の年金の半分を分割するわけではありません。
 
なお、年金は実際に受給年齢にならないと受け取れないので、受け取るのは離婚時ではありません。
また、年金受給資格が実際に発生するのは納付済期間が25年以上であることが必要ですので、せっかく分割したとしても、納付期間がそれ以上ないとそもそも受け取れないこともありますから注意しましょう。
なお、年金分割の請求も離婚が成立してから2年までの期間制限にかかります。

財産分与も、年金分割も、請求するには時間制限がありますので、「知らなかった」では済まされない内容ですね。
 

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この記事は2018年4月25日の記事を再構成しています

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