法律コラム

長引くコロナ禍、結婚式キャンセルに関する新たな業界指標が発表【代表コラム】

長引くコロナ禍、結婚式キャンセルに関する新たな業界指標が発表【代表コラム】

2022.02.20

こんにちは。弁護士の水谷です。
最近、親しい友人から結婚の報告があり、今年の6月に挙式を行うと伺いました。
長引くコロナ禍の中、うれしい限りです。
 
昨年の秋以降、一旦は収束したかにみえたコロナ禍も、オミクロン株の大流行、蔓延防止措置適用で再燃しています。
早急に落ち着くことを切に願いますが、今この時期に、挙式を予定されていた方はキャンセルするかどうかで頭を悩ませています。

コロナ禍での結婚式キャンセル問題は時事問題にもなり、弊所でも複数のご相談、ご依頼を受けております。
(こちらの記事も参照:結婚式場キャンセルのご相談が増えています【コロナと法律】
そんな中、新たな業界標準が改定されました。

ブライダル文化振興協会によるキャンセル時の業界標準が改定

コロナ禍でのキャンセル事態を受け、ブライダル事業者で構成される公益社団法人日本ブライダル文化振興協会は、業界標準としての「挙式・披露宴会場におけるモデル約款」を昨年10月末に改定しています。
これは、感染症流行時のキャンセル料をめぐる顧客との紛争を未然に防止する観点から設定されたものです。
 
 
内容は、コロナ禍を受け以下の2点に注目されています。
 
①キャンセル料について見積り額に対するパーセンテージ指標が設けられたこと(開催150日前を超えたら20%、60日前を超えたら35%)など(6条)
②「自然災害の発生、指定感染症等の流行、その他不測の事態の特則」を設けられた
 
 
①は消費者契約法上の平均的損害の概念を取り入れたものです。
しかしながら、実は、必ずしも消費者保護を旨とするものではありません。

②は感染症流行時で開催が危ぶまれる場合であっても、これを「不可抗力」としてキャンセル料ゼロ、とするのではなく「一定の期間内に開催日を変更しなければならない」としたものです。
  
日程変更しないで解約する場合には、減額したキャンセル料を支払うものと定められ、この「減額」度合いは明確には決められませんでした(特則2条)。

結婚式は単なるイベントではないはず

このように、改訂約款は、キャンセル料をめぐる紛争を一定程度防止する効果はあるかもしれませんが、消費者保護法の発想を徹底したものとは異なります。
  
結婚式は、単なるイベントとは異なり、二人の法的な婚姻から一定の時期に執り行ってこそ意味があるものでもあります。
長引くコロナ禍でやむを得ない側面はありますが、日程変更によらなければならず、それ以外はキャンセル料、となるのは、これから人生を始める二人には悩ましいところかもしれません。
  
何はともあれ、ふたりの新しい門出を祝して、無事に執り行われることを祈っています!

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