法律コラム
「家を出たい」と思っている方へ。別居について【離婚への道】第5回
日々の離婚ご相談の中で、
「主人から離婚を突き付けられました。家は用意してもらえるんでしょうか。」
「主人と別れたいです。でも、今の家に住み続けたいのですが…。」
こういったお話を(特に女性から)伺うことがあります。
実際、別居や離婚をすると、今までの生活と同じ生活は送れなくなることが多いです。
離婚することによって得られる「精神的な安定」と、離婚することで失うこれまでの「経済水準」。
常にこの二つを天秤にかけて、離婚のことを考えていく必要があります。
(今回は、ご主人の収入に依拠して生活されてきた女性に向けてのご説明になります)
できるだけ「変わらぬ生活」を保つためには
別居・離婚に至る場合において、できる限り生活水準を落としたくないのであれば、
⑴収入を上げる
⑵住居費を下げる
このいずれか(あるいは双方)をとることが必要になることが多いです。
⑵は、ずばり実家に帰るなどすることですが、もちろん、すべての方が実家に帰ることができるとは限りません。
そのときには、やはり、相手からいくらもらえるかはさておき、まずは自分の「今後の収入の確保」が必要になります。
別居をするにしても、新しい住まいを借りる敷金・礼金などを支払うお金や、生活費が必要だからです。
別居する前に確認しておくべきこと
ひとたび家を出てしまうと、ふたたび家に戻ることは難しいことが多いです。
同居中に、できる限り「夫婦の共有財産」がどの範囲で、いくらあるかを把握しておくことが必要です。
配偶者の預貯金が、どの銀行・どの支店にあるか。ほかに株式、不動産などはないか。
また、配偶者の収入はどの程度か。把握していない場合、源泉徴収票や給与明細などを見ておく必要があります。
自宅がある場合には、売却額がいくらになるか無料査定してもらったり、ローンの残額も把握しておくとよいでしょう。
離婚後の住まいを確保する
多くの場合、実家に戻ることがコストがかからずに合理的です。
とはいえ、折り合いの問題もありますし、実家自体に受け入れ余地がない場合もありますから、かならずしも実家に戻れるとは限りません。
公営住宅などを検討される方も多いですが、高倍率でなかなか入居できないのが実状。
賃貸住宅を探す際には、入居時一時金で相応の金額が必要になるので、前もって準備が必要になります。
別居する、とはどういうことか
住居、収入を確保する見通しが立ったら、次に、別居に向けて準備していきます。
離婚の話がまとまってから別居する方が望ましいですが、話し合いが難しく、やむを得ず生活を別々にするところから始めざるを得ない方も多くいます。
離婚したいが離婚事由が必ずしも十分でない方は、別居が「婚姻関係破綻の一事情」として勘案されることになりますし、逆に、離婚を思いとどまりたい方にとっては、別居をすることは慎重に行動する必要があります。
のちのち「悪意の遺棄」だと言われないように、出ていく理由を端的に置き手紙にして、その後も相手が困らないようにする配慮は最低限必要です。
引っ越し業者を呼ぶわけにもいかない場合が多いので、少しずつ荷物をまとめて出し、最後の荷物を持って配偶者の不在中に移動される方が多いです。また、引っ越し先を知られたくない場合は、住民票の異動は慎重にしてください。
一つとして同じ離婚・別居はないので、必ずご相談を
一つとして同じ離婚・同じ別居はありません。
お子さん連れの別居の場合は、別途配慮することもありますが、それはまた別の機会にお話ししたいと思います。
インターネットの情報に流されず、ぜひ一度ご自身の個別の事情をご相談ください。
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この記事は2018年8月14日の記事を再構成しています
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