法律コラム
6ヶ月は住居が保証される、配偶者短期居住権の新設 【相続法改正】
2019年より民法に含まれる相続に関する規定(相続法)の改正が順次施行されています。
前回の大幅な改正は1980年のことで、相続に関する規定は40年ほど見直されておらず。その間に、高齢化や家族形態の変化、社会の考え方の変化も生じているということで、相続法大改正が施行されることに。どんな改正が行われるのでしょうか、シリーズで解説します。今回は「配偶者『短期』居住権」について。
配偶者居住権・配偶者短期居住権の新設
配偶者は、亡くなった方が所有し同居していた建物を、引き続き6ヶ月は無償で使用する権利を取得します。
これまで、遺言や遺産分割等の内容によっては、残された配偶者の住む場所や生活が危ぶまれる事態がありました。しかし、今回の民法が改正されたことで、長期的に住居を得られる配偶者居住権と、最低6ヶ月は住居が保障される配偶者短期居住権により、より柔軟な対応が可能となったのです。
ただ、新しい制度ですので、まだまだ難しい問題が残されていますが、これから遺言書を書く方、相続に備えておきたい方はぜひご検討ください。
2020年4月から、次の制度が新設されますので、それ以降に発生した相続について適用されます。
条文
配偶者短期居住権(配偶者短期居住権)
第1037条
1配偶者は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に無償で居住していた場合には、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める日までの間、その居住していた建物(以下この節において「居住建物」という。)の所有権を相続又は遺贈により取得した者(以下この節において「居住建物取得者」という。)に対し、居住建物について無償で使用する権利(居住建物の一部のみを無償で使用していた場合にあっては、その部分について無償で使用する権利。以下この節において「配偶者短期居住権」という。)を有する。ただし、配偶者が、相続開始の時において居住建物に係る配偶者居住権を取得したとき、又は第八百九十一条の規定に該当し若しくは廃除によってその相続権を失ったときは、この限りでない。
一居住建物について配偶者を含む共同相続人間で遺産の分割をすべき場合遺産の分割により居住建物の帰属が確定した日又は相続開始の時から六箇月を経過する日のいずれか遅い日
二前号に掲げる場合以外の場合第三項の申入れの日から六居住建物取得者は、第一項第一号に掲げる場合を除くほか、いつでも配偶者短期居住権の消滅の申入れをすることができる。
(配偶者による使用)
第1038条
1配偶者(配偶者短期居住権を有する配偶者に限る。以下この節において同じ。)は、従前の用法に従い、善良な管理者の注意をもって、居住建物の使用をしなければならない。
2配偶者は、居住建物取得者の承諾を得なければ、第三者に居住建物の使用をさせることができない。
3配偶者が前二項の規定に違反したときは、居住建物取得者は、当該配偶者に対する意思表示によって配偶者短期居住権を消滅させることができる。
(配偶者居住権の取得による配偶者短期居住権の消滅)
1039条
配偶者が居住建物に係る配偶者居住権を取得したときは、配偶者短期居住権は、消滅する。
(居住建物の返還等)
1040条
1配偶者は、前条に規定する場合を除き、配偶者短期居住権が消滅したときは、居住建物の返還をしなければならない。ただし、配偶者が居住建物について共有持分を有する場合は、居住建物取得者は、配偶者短期居住権が消滅したことを理由としては、居住建物の返還を求めることができない。
2第五百九十九条第一項及び第二項並びに第六百二十一条の規定は、前項本文の規定により配偶者が相続の開始後に附属させた物がある居住建物又は相続の開始後に生じた損傷がある居住建物の返還をする場合について準用する。
(使用貸借等の規定の準用)
第1041条第五百九十七条第三項、第六百条、第六百十六条の二、第千三十二条第二項、第千三十三条及び第千三十四条の規定は、配偶者短期居住権について準用する。
相続法改正についてはシリーズでお届けします。合わせてご確認ください。
相続に関してのお問い合わせは、オンラインでお好きなお時間をお選びいただけます。初回相談料は無料とさせて頂いております。こちらの予約フォームからお気軽にどうぞ。
ご予約・お問い合わせ
「ご相談者様の明日の幸せのために」
「人生に寄り添った仕事がしたい」
そんな熱い思いを胸に全力を尽くして取り組んでおりますので、
まずはお気軽にご相談くださいませ。