法律コラム
争族を未然に防ぐ、遺留分を捻出できないときは【人に聞けない相続】第8回
“遺留分確保のための対策” これが無用な争族を起こさないための大切な予防策です。経営者が相続の際に見落としてしまいがちな「事業後継者以外への財産分与」。事業に関係するもの(自社株や事業用不動産など)以外に目ぼしい財産が特にない場合は、事業後継者以外の相続人に残す財産のバランスを見誤り、“相続”ならぬ“争続”に発展する可能性もあります。今回は争族を未然に防ぐ方法について見ていきましょう。
預金だけで 遺留分を補えるとは限らない
ある個人事業主は自宅兼工場(1 億円)と預金(2,000万円)の計1億 2,000万円の財産を所有しています。配偶者はすでに他界しており、相続人は長男と次男の2人だけです。長男はサラリーマンとして働いており、次男は工場で現在勤めています。経営者の死後、工場を継ぐのは次男となる予定です。経営者としては、事業を継いでくれる次男に自宅兼工場を渡したいところでしょう。しかし、長男が納得するとは限りません。 上記のケースだと、遺留分は 3,000万円となります。自宅兼工場を次男が引き継いだ場合、預金の2,000万円をすべて長男に渡したとしても遺留分には届きません。足りない遺留分を借金で補おうとすれば、経営が立ち行かなくなる可能性もあります。もちろん、自宅兼工場を売却して現金を渡す方法もありますが、事業自体を継続することが不可能になります。
代償分割を利用する際は 贈与税に注意
そこで考えられるのが「代償分割」の活用です。「代償分割」とは、共同相続人のうち1人または数人が遺産を取得し、その人から他の共同相続人に代償金を支払う方法です。なお、この方法で遺産分割する際は、遺産分割協議書に代償分割する旨を記載しておかないと、次男から長男への代償金が贈与とみなされて課税対象となります。 代償金を捻出する方法は、生命保険を活用する方法があります。生命保険金は受取人固有の財産ですので、遺産分割の対象にはなりません。受取人を次男に設定しておくことで長男への代償金を支払えます。 ただし、被保険者と保険料の負担者の両者が父親である場合は、保険金に相続税が課税されますが、法定相続人の数×500万円までは非課税となります。なお、保険料の負担者が次男である場合は、所得税(一時所得)が課税されます。
その他代償分割や相続で困ったことがあれば、当事務所までお気軽にお問い合わせください。
ご予約・お問い合わせ
「ご相談者様の明日の幸せのために」
「人生に寄り添った仕事がしたい」
そんな熱い思いを胸に全力を尽くして取り組んでおりますので、
まずはお気軽にご相談くださいませ。