法律コラム

緊急事態宣言・再発令を考える②結婚式のキャンセル料は?【コロナと法律】

緊急事態宣言・再発令を考える②結婚式のキャンセル料は?【コロナと法律】

2021.01.09

新型コロナウイルスの感染再拡大を受けて、1月8日(金)から一都三県に緊急事態宣言が発令されました。
 
今回は
①午後8時以降の不要不急の外出の自粛の徹底 
②飲食店、バー、カラオケなどの営業時間を午後8時までとすること
③出勤者の7割削減(テレワーク推奨)
④イベントの開催、施設利用の制限(収容率50%)とするなどが主な内容です。
 
ここでは、法的な観点から再発令された緊急事態宣言について、シリーズで紐解きたいと思います。
第二回目は「結婚式のキャンセル」について。
身近な契約ごととして、以前の記事でも取り上げましたが、緊急事態宣言を受けて、今月内に予定していた結婚式をキャンセルした場合、キャンセル料はかかるのでしょうか? もう少し詳しく解説いたします。

キャンセル料がかからなくなる訳ではない…

実際、結婚式場でのクラスター発生は、多く耳にするところです。
飲食をしながら長時間同じ部屋の中にいることになるので、それだけリスクも高くなるのだと思われます。
 
一方で、今回の緊急事態宣言は、飲食店の午後8時以降の営業を禁止し、イベントの開催人数や収容率を制限しただけで、これらのルールを守ったうえで、ホテルなどで結婚式のために人が集まることそのものを禁止するものではありません。
 
そうすると結婚式は「開催不可能」とまでなっていない。
つまり、一見して「履行ができない(履行不能)」の状態にあるとはいえないので、あくまでユーザーからのキャンセルがあって初めて結婚式が開催されないことになります。
 
限りなく社会通念上履行不能で、キャンセルの概念を容れないのでは…とも思われますが、今回のように,政府が「会合禁止」とまで要請していない状況下では、当然にキャンセル料なし、ともまたならないものと思われます。

日本ブライダル文化振興協会によるモデル約款

公益社団法人日本ブライダル文化振興協会に、結婚式場・披露宴会場における「モデル約款」というものがあります。
 
このモデル約款では、キャンセル時期に応じて、

①59日目以降30日目まで お見積額(サービス料を除く)の40%+実費等
②29日目以降10日目まで お見積額(サービス料を除く)の45%+実費等
③当日 全額
というキャンセル料が規定されており、実際、民間の式場もこの規程を参考にした規定をおいているところがあるのではないかと思われます。
 
今回は主に②のケースが多いかと思われますが、一方的な都合でのキャンセルでもなく、他の参列者の健康に配慮してのことなのに、約半額もがキャンセル料になるなんて、本当にいいのでしょうか?
ユーザーからの一方的な都合によるキャンセルとは、それでも何か違うような…。

平均的損害を超えるキャンセル料は無効

「理由の如何を問わず、10日前より以前のキャンセルの場合、全額の50%」といった定めをおくこと自体は、個々の結婚式場で自由です(規定自体をおいてはいけないわけではない)。
 
ただし、これらの定めは、消費者対事業者という立場の違いから、弱い消費者を保護するため「消費者契約法」による規制を受けます。
 
これにより、同法9条1号は「平均的な損害の額」を超えた部分を無効としていますので、
キャンセル料の規定があっても、業者はキャンセルの場合に業者が実際に被る実損害の平均的な額を超えてキャンセル料をとることはできないことになります。
 
今回の場合でいうと、当日の料理代・お花代・その他の実費部分などは(すでに注文済みなどではない限り)かからないことになりますから、キャンセル料として請求することはできません。
 
また、キャンセル料は本来、定めをおくことで直前にキャンセルをされて他の客から得られたはずの業者側の利益を保証する側面もあります。
今回の場合、仮にその会場を空けていたとしても、次の予約が入る可能性はもう高いとはいえないので、キャンセルされていなかったら得られたであろう同会場での他の顧客からの売上げ分についても、業者が期待することは難しいものとして、キャンセル料の中に含めることは難しいということになりそうです。個別でご相談ください。

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