法律コラム
緊急事態宣言・再発令を考える③塾や習い事はどうする?【コロナと法律】
新型コロナウイルスの感染再拡大を受けて、1月8日(金)から一都三県に緊急事態宣言が発令されました。
今回は
①午後8時以降の不要不急の外出の自粛の徹底
②飲食店、バー、カラオケなどの営業時間を午後8時までとすること
③出勤者の7割削減(テレワーク推奨)
④イベントの開催、施設利用の制限(収容率50%)とするなどが主な内容です。
ここでは、法的な観点から再発令された緊急事態宣言について、シリーズで紐解きたいと思います。
第三回目は「子どもの塾や習い事」について。身近な契約ごととして、以前の記事でも取り上げましたが、緊急事態宣言を受けて、月内の利用を見合わせた場合、お月謝はどうなるのでしょうか?
月謝の2つの要素
改めて考えると、月謝には2つの要素があります。
①その習いごとや塾に在籍し生徒として管理されることで発生する「登録管理料」としての部分。
②実際のレッスンや授業の対価としての部分。
前者は、レッスン・授業を休んだ場合にも発生するので、この部分の負担は免れません。
では後者は?
サービスの対価を受けていないので、支払いの義務がなくなるのではないかとおも思われます。
レッスン・授業の提供は果たして「履行不能」なの?
もし政府が、塾や習い事の開催を「禁止」し、実際に塾や習い事が開いておらず、「もう行くことができない」という場合であれば、サービスの提供という対価が消滅しているので、その反対給付にあたる代金(レッスン料・授業料)の支払義務は、当然に消滅します。
今回政府は、緊急事態宣言の発令先となった一都三県に対しても、学校などを原則開校とし、塾や習い事についても特段の配慮を要請しているわけではないので、あくまで利用しないというのはユーザー側の判断だということになります。
キャンセル・休会は1ヶ月前まで、という取決めがある場合は多いだろうと思いますが、この場合だと、あくまで、今月申し入れて今月から塾・習い事を休むのでは、今月分のレッスン料は発生するということにもなりそうです。
「今月の利用料」についてのご相談は多い
継続して提供されてきた塾や習い事などのサービス契約について、急遽行かなくなった今月分についても約定通り利用料が発生するかどうかは、結婚式場やイベントの「解約金」「違約金」の問題とは異なり、消費者契約法上ただちに無効となるものとまで言えません。
実際にひと月分の利用料をめぐって、どこまで争うべきか。
ご相談は絶えないところです。
「消費者契約法上」あるいは「民法上」どうかということをめぐって、とことん争うのもなかなかつらいものです。
まずは柔軟に、「別月に振り替え」ができないかどうか、塾や習い事の先生に訊いてみていただくよう、ご案内しています。
法律上当然にどうなるか、ということもそうなのですが、本質的に契約自由であり、そのために当事者間が合意できればお話がまとまることも多いのが契約社会です。
塾や習い事に通う側のお月謝の負担も当然ですが、「コロナ禍の中でも今後も生徒さんを維持しよい授業・レッスンを提供していきたい」と思っている事業者側の事情にも配慮が必要です。
今月、塾や習い事を見合わせる判断をする場合でも、無断・直前キャンセルとならぬよう、すみやかにその決断を行った上で、費用の負担が残る場合には、今月分の料金を利用を「再開した後の他の月にあてられないか」ということをご相談してみてはいかがでしょうか。実際にスポーツジムや学習塾などでは、そのような運用をしているところが多いと聞きます。
オンライン相談にも対応しています。
弊所では、新たにご相談いただく方に、来所面談においてアクリル板の設置や換気など感染防止策を徹底するとともに、オンライン面談(zoom又はLINEによるTV通話)の手法を併せてご用意しています。
相談してみたいけど心配だ、という方はぜひともお問合せください。
これまで、弊所では,お顔を拝見し,その方のお気持ちを把握することで、一般論ではない、その方のためにもっとも適切なご案内ができると考え、電話面談は極力行わず、ご来所を推奨させていただくものとしていました。
しかしながら、いつ終わるとも知れない新型コロナウイルスの蔓延下においては、従来のやり方では、必要な方に必要なアドバイスを差し上げられないことにもなりかねないと考え,本年は、来所以外の手段でのお問い合わせにも積極的にご対応しております。
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