法律コラム
【コロナと法律】緊急事態宣言後、身の回りの契約について「スポーツクラブの会費は?」
3月22日に公開しました新型コロナウィルスの前回記事から、4月7日に緊急事態宣言が発令され、状況が再び変わりました。今回の記事はその続報です。
身の回りの様々な契約上のことでも緊急事態宣言後では、施設自体の対応も変化しています。中でも、私たちの生活に最も身近な、スポーツクラブやジムについて。休業された場合の会費や月謝はどうなるのでしょうか?
緊急事態宣言後に、変わったこととは
4月7日、正式名称「新型インフルエンザ等対策特別措置法」に基づく緊急事態宣言が政府により出され、同法24条9号に基づいて、都道府県の各本部が、私人や団体に、休業の「協力」要請ができるようになりました。
これにより、東京都では、バー、ライブハウスを含む遊興施設、1000平米を超える大学・学習塾、スポーツクラブ、パチンコ店などの運動・遊戯施設、映画館・劇場等、1000平米を超えるホテル・博物館等の集会・展示場、1000平米を超える生活必需品以外の小売店等の商業施設は、東京都から休業に協力するよう要請されたのです。
つまり、飲食店、スポーツジム、塾などの施設は、運営の「自粛」ではなく、都道府県知事の「協力要請」により、運営を公的に制限されるようになりました。
では、個々の場合の利用料金はどうなるでしょうか。
スポーツクラブの場合、会費はどうなる?
①クラブを利用する権利が提供されていたかどうか
②自分から自粛したのか、あるいは強制的に行けなくなったのか、
という2つの点が判断の基準になります。
◾️緊急事態宣言前にスポーツクラブに行くのを自粛していた場合
これは、クラブを利用する権利自体は提供されていて、自分が行かなかったというだけなので、対価=会費の支払い義務は残ります。
◾️スポーツクラブが緊急事態宣言前に自粛していた場合
これは、クラブ側が利用権の提供をやめていますので、対価=会費を支払う義務はなくなります。
◾️スポーツクラブが緊急事態命令を受けて休業した場合
スポーツクラブが利用権を提供すること自体が不可能になってしまったので、その対価である会費を支払う義務もまた消滅します。
スポーツクラブ側が自粛や休業要請などで休業してクラブが利用できなくなったとしても、会費のうち施設維持費的な部分は、キャンセルをして会員をやめない限り残る規約になっている場合もあります。この場合は、退会しない限りこの費用は免れないことになるので、ご注意ください。
また、以上は民法の原則によったものですが、クラブ側が自粛や休業をした場合にもかかわらず、クラブが、「いかなる理由があっても会費はキャンセルするまで返還しません」という規約を置いていた場合、消費者契約法により無効になるので、やはり上記の原則に立ち戻るものと考えられます。
一旦、5月の連休後までの休業としている施設が多そうですが、このまま長期化することを考えると、様々な契約を見直す必要があると思います。お早めにご自身の所属しているスポーツクラブ・ジムへご確認ください。
次回は、休業要請についてもう少し詳しく、あと施設側の事情などをお伝えします。
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