法律コラム
株主代表訴訟とは?小林製薬への提訴準備を巡る問題を考察【身近なところの ニュース法律解説】
弁護士の藤間です。
世の中で注目されている時事問題のうち、企業様の関心が高いトピックについて、法律に関わる部分を解説したいと思います。
香港系投資ファンド「オアシス・マネジメント」が、小林製薬の元会長・小林一雅氏ら7名に対し、株主代表訴訟の準備を進めていると発表しました。(NHKのNEWS WEB記事より)
この訴訟の背景には、小林製薬が販売した紅麹(べにこうじ)配合サプリメントの健康被害問題があります。
オアシス・マネジメントは、小林製薬の大株主(10.1%保有)として、取締役らの責任を追及し、会社に与えた損害の補填を求める方針です。
株主代表訴訟とは、取締役の不正行為や過失により会社に損害が生じた場合に、株主が会社を代表して責任追及する訴訟制度です。
今回のケースでは、健康被害問題の対応が適切でなかったことが、取締役の「善管注意義務違反」に当たるかどうかが争点になると考えられます。
そこで今回は「株主代表訴訟」について、解説したいと思います。
株主代表訴訟の流れ
基本的な株主代表訴訟の流れに則って、今回の事象を解説します。
①株主による提訴請求→②会社が対応しない場合、株主が訴訟を提起→③裁判の争点と判決の影響
まず、株主は会社に対して「取締役らの責任を追及する訴訟を起こしてほしい」と請求します。
オアシス・マネジメントは昨年11月に小林製薬に対し損害賠償請求訴訟を起こすよう要求しました。
しかし、小林製薬はこの請求を拒否しました。株主代表訴訟では、会社が60日以内に訴訟を起こさない場合、株主自身が会社を代表して提訴することが可能です(会社法847条)。
オアシス・マネジメントは「不当な判断」と反発し、現在訴訟の準備を進めています。
裁判では、小林製薬の取締役らが健康被害問題に対して適切な対応を行ったかが争点となります。
もし、企業の損害を防ぐための適切な措置を怠っていたと認められれば、賠償命令が下る可能性があります。
企業の透明性を確保するメリットと株主代表訴訟のリスク
株主代表訴訟は、取締役が会社に損害を与えた場合に、その責任を明確にすることでコーポレート・ガバナンス(企業統治)を強化する役割を果たします。
特に、大企業の経営陣に対する監視機能として、株主が企業の不正や不適切な経営判断をチェックできる制度です。
一方で、株主代表訴訟にはリスクも伴います。
⚫︎訴訟が長期化し、会社の経営に悪影響を及ぼす
⚫︎企業のブランドイメージや信用が低下する可能性がある
⚫︎株主同士の対立が深まり、経営の安定性が損なわれる
特に、今回の小林製薬のケースでは、健康被害問題そのものが企業の信用問題に直結しており、訴訟の行方によっては、さらなるブランド価値の低下や株価の変動が予想されます。
過去の株主代表訴訟の事例と今回のケースとの比較
過去にも日本では株主代表訴訟が提起された事例があります。
•オリンパス事件(2012年)→経営陣が不正会計を行い、株主が訴訟を提起。元役員らに約58億円の賠償命令。
•東芝不正会計事件(2017年)→株主が旧経営陣を提訴し、約1,200億円の損害賠償を請求。
いずれも、企業の財務に重大な影響を与える経営判断が問題となり、経営陣の「善管注意義務」や「忠実義務」違反が争点になりました。
一方で、今回の小林製薬のケースとの共通点と違いはどこにあるのでしょうか。取締役の「注意義務違反」が認められるかどうかが重要なポイントです。
【共通点】
⚫︎企業の経営判断が適切だったかが争われている
⚫︎株主が経営陣の責任を追及している
【相違点】
⚫︎小林製薬の件は「製品の安全管理」に関する問題であり、不正会計とは異なる
⚫︎健康被害という社会的影響の大きい事案であり、消費者の反応も重要
もし今回の株主代表訴訟が提起され、取締役らの過失が認められた場合、企業のコンプライアンス(法令遵守)やガバナンスのあり方に大きな影響を与える可能性があります。
今回のケースは、日本の企業統治のあり方を考える上でも重要な訴訟となる可能性があります。弁護士として、こうした問題に関心を持ち、今後の動向を注視していきます。
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