法律コラム
会社を閉じる際、経営者が「個人破産」せずに済む方法【身近なところのニュース法律解説】
弁護士の藤間です。
世の中で注目されている時事問題のうち、企業様の関心が高いトピックについて、法律に関わる部分を解説したいと思います。
会社を閉じる際、経営者は個人破産せずに済む方法があるのをご存知ですか?
経営者の方からよく相談を受ける内容として、会社を廃業しようとしても、金融機関からの借入れについて連帯保証人となっているため、廃業すると個人破産をしなくてはならず、所有する不動産を手放さなければならないか、というものがあります。
多くの方が「個人破産」しか選択肢がないと考えがちですが、実際には他の方法もあります。
個人破産せずに所有不動産を手元に残しながら、金融機関からの債務の免除を受けることができる「経営者保証に関するガイドライン」を利用する方法」について、実は、ご存知ない弁護士の方も意外といらっしゃいます。
経営者保証と個人破産は、事業の失敗や資金繰りの悪化に直面した経営者が取るべき選択肢の一つです。
この記事では、経営者保証に関するガイドラインと個人破産の比較を通じて、どちらが最適な選択肢であるかを解説します。
経営者保証に関するガイドラインの概要と目的
まず、経営者保証に関するガイドラインは、事業再生を目指す経営者が個人的な保証を提供することなく事業の再建を図るための指針です。
このガイドラインは、経営者の個人資産の保護と事業の再生を両立させることを目的としています。(詳しくは、全国銀行協会の公式サイトをご覧ください)
利用するための要件としては、経営者保証に関するガイドラインを利用するためには、以下の具体的な要件を満たす必要があります。
⚫︎誠実な対応
経営者が債務返済に向けた誠実な努力を行い、債権者との協議を積極的に進める姿勢が求められます。
⚫︎適切な事業再生計画
経営者が提出する事業再生計画が現実的かつ実行可能であることが必要です。
⚫︎必要書類の提出
財務諸表、事業計画書、その他必要な書類を正確かつ適時に提出することが求められます。
⚫︎金融機関との合意:金融機関がガイドラインの適用を受け入れることが前提となります。
金融機関との間で合意が成立しなければ、ガイドラインの適用は難しくなります。
個人破産の概要と経営者保証に関するガイドラインのメリットとデメリット
個人破産は、返済不能な状態に陥った個人が裁判所に申立てを行い、全ての債務を免責してもらう手続きです。
それでは、個人破産のメリットデメリットについて考えてみます。
<メリット>
⚫︎全ての債務が免責される
⚫︎法的に確立された手続きがあるため安心感がある
⚫︎債権者からの取り立てが停止する
<デメリット>
⚫︎信用情報機関に登録される
⚫︎住宅や他の資産を失う可能性がある
⚫︎破産者としての制約がある
一方、「経営者保証」に関するガイドラインのメリットとデメリットについても考えてみましょう。
<メリット>
⚫︎信用情報機関に登録されない
⚫︎住宅や他の資産を保持できる可能性
⚫︎インセンティブ資産の優遇措置
<デメリット>
⚫︎個人の借入金が対象外
⚫︎強制力のあるスケジュールがない
⚫︎手続きに時間がかかる場合がある
個人破産と経営者保証ガイドライン、どちらを選べばいい?
個人破産を選ぶべき場合はどういった場合が該当するのでしょうか。
⚫︎全ての債務から解放されたい場合
⚫︎事業の継続が困難な場合
⚫︎法的に確実な債務整理を希望する場合
一方、経営者保証ガイドラインを選ぶべき場合は、どういった場合なのでしょうか。
⚫︎事業を継続する意欲があり、再建の見込みがある場合
⚫︎住宅や特定の資産を失いたくない場合
⚫︎信用情報に悪影響を与えたくない場合
ご自身の状況において選択肢がわかれるのです。
経営者保証ガイドラインの具体的メリット
経営者保証ガイドラインの具体的メリットはどこにあるのでしょうか?
①信用情報に悪影響を与えない
経営者保証ガイドラインの利用により、信用情報機関に登録されることがなく、将来的な金融取引において不利になることを避けられます。
②住宅を守る
個人破産の場合、所有する不動産を失う可能性がありますが、経営者保証ガイドラインを利用することで住宅を手放さずに済む場合があります。
③事業再生の可能性
個人破産ではなくガイドラインを活用することで、事業を継続しながら再建を目指すことが可能です。
経営者保証ガイドラインの実際の利用方法
最後に、実際の利用方法についてお伝えしいたします。
①金融機関との協議
経営者保証ガイドラインを利用するためには、まず金融機関と協議を行う必要があります。金融機関がガイドラインの
適用を受け入れることが前提です。
②必要書類の準備
ガイドラインの適用を受けるためには、財務諸表や事業計画書など、必要な書類を準備することが重要です。
③ 専門家のサポート
ガイドラインの適用には専門的な知識が必要となるため、弁護士や経営コンサルタントのサポートを受けることが推奨されます。
経営者保証に関するガイドラインと個人破産のどちらを選ぶかは、個々の状況に応じて慎重に判断する必要があります。
弁護士として、経営者の方々にはどちらが最適かを適切にアドバイスし、サポートしていくことが重要です。
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