法律コラム

企業とコンプライアンスを守る~下請法規制とは~トヨタ子会社の例【身近なところのニュース法律解説】

企業とコンプライアンスを守る~下請法規制とは~トヨタ子会社の例【身近なところのニュース法律解説】

2024.08.05

弁護士の藤間です。
世の中で注目されている時事問題のうち、企業様の関心が高いトピックについて、法律に関わる部分を解説したいと思います。
  
2024年7月5日、公正取引委員会は、自動車のトヨタの子会社である株式会社トヨタカスタマイジング&ディベロップメントが、金型を複数の下請けの部品メーカーに無償で保管させていたことについて、下請法違反を認め、勧告を行いました。
公正取引委員会HPより
 
企業の「コンプライアンス(法令順守)」というとき、労務、経済法規、税会計、情報管理とその範囲は多岐にわたります。
 
労務、税会計、情報管理がどちらかというと企業の内部側でのコンプライアンスであるのに対し、企業がその事業を対外的に行っていくにあたって、企業が事業を遂行するにあたり守るべき業法の違反は、今回のように大きく報道され、企業の評判の低下にもつながりますので、特に注意が必要です。
 
独占禁止法、下請法、不正競争防止法、消費者保護法、金融商品取引法など、企業が取り扱う分野によって問題となる経済法規、業法は様々です。 
  
それではどのように対応すればよかったのでしょうか?

下請として起用する場合に、してはならないことを定める「下請法」とは

今回のトヨタの例にみられる「下請法」は、親事業者による下請事業者に対する優越的地位の濫用行為を取り締まるための法律です。
   
本来は、「下請代金支払遅延等防止法」の名のとおり、下請け代金を60日以内に支払うこと、遅延の場合は遅延利息を払うことを定めたのがこの法律です。
  
そして、それ以外にも、「下請けいじめ」を防ぐための規制が定められているのが、この法律です。
  
下請法は、製造委託・修理委託の場合(製造業系)のみならず、情報成果物作成委託(コンテンツの制作)や役務提供委託(運送業等)にも適用があります。
 
資本金の金額が大きい会社が、より小さい会社を下請として起用する場合に、してはならないことを定めています。
 

「下請けいじめ」とは

下請法が「下請けいじめ」になるものとして禁止している行為は、次の11類型です。
   
受領拒否(第1項第1号)、下請代金の支払遅延(第1項第2号)
 
下請代金の減額(第1項第3号)、返品(第1項第4号)、買いたたき(第1項第5号)、購入・利用強制(第1項第6号)、報復措置(第1項第7号)、有償支給原材料等の対価の早期決済(第2項第1号)、割引困難な手形の交付(第2項第2号)、不当な経済上の利益の提供要請(第2項第3号)、不当な給付内容の変更及び不当なやり直し(第2項第4号)
   
トヨタの例でいうと、金型を複数の下請けの部品メーカーに無償で保管させてていたことを、発注したものを引き取らないでいたことを「受け取った物の返品」として「返品の禁止」(第1項第4号)、保管経費を負担させていたことを「下請事業者に金銭,労務の提供等をさせたこと」として「不当な経済上の利益の提供要請」(第2項第3号)にあたるものと判断されたことになります。

資本金規模の小さい会社を起用するときには、下請法にアンテナを

今年になってから、すでに、電気製品販売のノジマ、ホームセンターのナフコ、食品雑貨のカルディコーヒーがそれぞれ下請法違反を指摘されています。
 
下請け企業への返金を余儀なくされることは当然のことながら、大きく報道され、公正取引委員会にも企業名を挙げて公表されるなど、そのリスクは大きなものになります。
 
資本金がより小さい会社を起用するとき、その取引が下請法違反でないか?について、アンテナを立てるべきことをお勧めします。
 
 

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