法律コラム

サッカー日本代表選手の性加害疑惑について、法律家の思うところ【代表コラム】

サッカー日本代表選手の性加害疑惑について、法律家の思うところ【代表コラム】

2024.02.19

代表弁護士の水谷です。
世の中で注目されている時事問題について、法律に関わる部分で解説したいと思います。
 
日本代表のサッカー選手が、準強制性交等罪で被害女性2名から告訴され、同時に、虚偽告訴罪でこれらの女性に対する告訴も受理されたという報道がありました。
 
これを受けて、選手は日本代表からの離脱を余儀なくされています。サッカーファンにはちょっとショックな報道ではなかったでしょうか。
   
まだ有罪無罪含め真実は何も明らかになっていないのに、代表から離脱という結果になったことは「これだから日本は…」という感想は、誰しもが持つところだと思います。

準強制性交等罪とは

準強制性交等罪とは、相手の心神喪失や反抗不能な状況を利用したり、暴行や脅迫などの手段を問わず、そのような状況にさせた上で、性交等をする罪です。
 
実はこうしたご相談は、私たち町の弁護士でも時折受けるところなのです。
 
とはいえ、実際には、性犯罪が密室で行われるということや、直後は当事者の方々も混乱していてすぐに被害の申告を警察にしないことなどもあり、「本当に同意がなかったのか」「強制的だったのか」というところが立証しづらく、刑事事件化することは簡単ではないのが現状です。
 
こうした背景から、性犯罪は警察や検察庁に「告訴状」や「被害届」を受理してもらうハードルは高い犯罪なのです。

大変判断が難しい問題

(報道が正しければ)今回の件は、被害を申告した人、そして加害者とされる人の双方から、それぞれ告訴状が受理されている、というところが注目ポイントだと思います。

そもそも、警察自体、事件化した事実を検察庁に送らなければならないので、たとえ限りなく真実だろうと思われる事案でも、証拠がとても薄くて本人のお話だけしかないととか、警察が「箸にも棒にもかからない」と判断するような事案については、これを事件として取り沙汰すには消極的になります。
 
冒頭にも説明しました通り、
 
「準強制」の性交=人の心神喪失若しくは抗拒不能な状態を利用するして“強制”すること
 
ですので、力ずくでするわけではないけれど、人が薬物やお酒で酔った状態にあることを利用して、同意なく行為に及ぶことをいうわけです。
 
当然、成人した女性が、お酒などに酔った状態で性行為に及ぶことになり、それが同意に基づくものなのかどうか…は大変判断が難しい問題になります。
 
実際は、その前後の行動、つまり、行為が生じるまでにどのような経緯があったか、行為が生じた後どのような行動に出たか、などを綿密に認定しなければ、「準強制」の性交渉等があったものとして加害者を起訴することは難しくなります。

虚偽告訴とは

一方、「虚偽告訴」は、人に刑事処分を受けさせる目的で「虚偽」つまり真実に反する告訴をすることです。
 
ここでいう「虚偽」は「結果として真実に反していました」ということではなく、「嘘とわかっていながら」ということです。
 
だからこそ、対象となる告訴について処分が明らかになっていないうちでも、同時に受理されたものではあるのでしょう。
 
それにしても、「嘘とわかっていただろう」というところが、告訴が受理される程度までの理屈、証拠があったものでなければ、同時に受理されることは通常は容易ではないのです。

双方での駆け引きが行われ、何らかの形で潰えた…?

報道によれば、問題となる事実があったとされるのは2023年6月半ば。
 
そこから半年以上の間、双方の間でどのようなやりとりがあったのかはわかりません。
 
まして、サッカー選手側の弁護士は2回も交代が起こり3人目だったともいいます。
  
行為から双方の告訴状の受理までに半年以上かかったという点、選手側の弁護士に交代が続いた点などからすれば、真実はともかく、耳目を集める前に示談でまとめてしまい、告訴状などが出ないようにしてしまおう、立証不備で負けてしまう前に示談に応じるかどうか、という双方での駆け引きが行われこれが何らかの形で潰えたのであろうということが想像できます。
 
今回の場合、報道によっては「致傷」があったという報道もありました。
 
おそらく、女性側に何等かの傷害のようなものが生じ、そのことが影響して、示談を困難にし、双方の告訴が受理されるべき事態にも至ったのであろうと想像できます。
 
はたして、起訴等が生じるまでに双方の間で話し合いが成立し不起訴処分となるのか(通常であればこっちの流れが多いでしょう)、はたまた、にっちもさっちもいかずに、どちらかの起訴という事態にまでなるのかが今後も注目されます。

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