法律コラム

ジャニーズ「社名変更」なるも、法人格は「そのまま」という事情【代表コラム】

ジャニーズ「社名変更」なるも、法人格は「そのまま」という事情【代表コラム】

2023.10.17

代表弁護士の水谷です。
世の中で注目されている時事問題について、法律に関わる部分で解説したいと思います。
  
ジャニーズ事務所(株式会社ジャニーズ事務所/Jonny&Associates)が、性加害問題を受け、創業者一族の名前を残すこの社名(商号)を、ついに「スマイルアップ」に変更することが発表されました。
  
社名が変わっただけで、法人格はそのままですから、引き続き100%の株式を藤島ジュリー景子さんが持っていることは変わらず、代表取締役の地位にあることも変わりません。

今回はこの選択に至った法的な事情を解説したいと思います。

旧会社から、タレントのマネジメントの業務の移管を受ける

ジャニーズ事務所については、タレントのCM報道の中止、紅白への出場の停止など、本来被害者も含まれるはずのタレントの出演の機会が大幅に減少してしまうことになりました。
 
これでは本末転倒だな、と思っていたところのこの対応でした。
 
社名の変更に伴い、「被害者への補償」という業務と、「タレントのマネジメント」という業務を分離することになったそうです。
 
そして、被害者の補償は商号を変更した旧会社が、タレントのマネジメントは、新たに設立される新会社が行うことになりました。
 
新会社について、出資が誰によりどのように行われることになるのかはわかりませんが、新会社は旧会社から、タレントのマネジメントの業務の移管を受けることになります。

新会社への「事業譲渡」するということ

これらの動きでキーワードとなるのが、「事業譲渡」と「事業承継税制」です。
 
旧会社(スマイルアップ)から新会社へのマネジメント業務の移管は、旧会社が持っていた「事業」を新会社だけが買い受ける「事業譲渡」の形をとることになります。
 
「事業譲渡」とは、会社がある「事業」の一部を譲渡することをいいます。
 
「株式譲渡」の形をとると「会社全体」を包括的に譲渡の対象とすることになりますが、この場合譲渡する対象の事業が特定されることになりますから、個々の権利関係も対象にするかが選べることになります。
 
今回対象になったのがタレントのマネジメント業務ですから、これに伴って、タレント業務に関するTV局などからの報酬を受ける権利もすべて新会社に移ることになるはず。
 
これは本来ジャニーズ事務所の業務のメインだった部分です。
 
むしろ、旧会社には「補償」というこれまでになかった業務と、そのための損害賠償債務だけが残るものと考えて差し支えないと思います。

旧会社と「事業承継税制」について

では、全部の株式をジュリーさんから手放させて、補償も行わせればよいのではないのか?とも思えます。
 
これがされなかった理由が「事業承継税制」だと言われています。
 
「事業承継税制」とは、1代目経営者から2代目経営者が自社の株式などを相続、贈与などにより譲受けて取得する場合に、一定の要件を条件として相続税、贈与税の納税を猶予し、2代目から3代目以降の株式を承継するときまで納税が免除される制度です。
 
2019年、創業者のジャニー喜多川氏が亡くなり、2020年にはその姉のメリー喜多川さんが亡くなったことで、これらの株式のすべてがメリーさんの娘(ジャニーさんからみて姪)の藤島ジュリー景子さんに相続により引き継がれました。
 
事業承継税制により納税の猶予を受け続けるためには、後継者が会社の代表者であり続けることが要件のひとつとして必要になっています。
 
仮に藤島ジュリー景子さんが代表でなくなる、あるいは代表権が会社の一部に制限されてしまうなどがあると、なんと200億円をも超える相続税を一気に収めなけれればならなくなるとか。
 
今回の会社の分離は、補償問題とタレント経営という二つの事業を会社のイメージのために分けようとするもの、という理解が一般的ですが、実は、大きな相続税問題が、その裏にあったのだということになります。

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