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【男と女の相談室】不倫における「妻の謝罪」と「社会的制裁」について

【男と女の相談室】不倫における「妻の謝罪」と「社会的制裁」について

2020.10.16

第9回●有名人の不倫。「妻の謝罪」は必要なの?

法で解決できること=人生においてハッピーエンドか、必ずしもそう言い切れないのが世の常です。権利を獲得し、お金で解決することができたとしても、それが結果、良かったかどうか…は、渦中にいると見えにくいもの。ここでは弁護士水谷がご相談を受けている際、よくクライアント様から受ける相談の法律外のお話をお伝えします。多くの人生に寄り添ってきた彼女だからこそ言える、芯の部分が垣間見えると思います。

■相談内容
不倫のニュースが相も変わらず、世の中に溢れています。
有名人が不貞に至ったとき、本来、被害者でもあるはずのパートナーが謝罪コメントを出していて、違和感を感じてしまいます。あと、最近の世の中の風潮として、社会的制裁を加えるまで事態が収まらない傾向があると思います。この辺りについて、先生はどのようにお考えですか?

■水谷の答え
社会的影響力の強い有名人の場合、スポンサーへの配慮などから「「うちの夫(妻)がお騒がせして申し訳ありませんでした」のようなパートナーからの謝罪に至ってしまっているのでしょうけれど、こういったことが必要なのかどうか。法的な観点からお話しさせていただきます。

そもそも、夫婦は連帯責任なのか?

確かに民法では、婚姻中に形成した財産を「共有財産」と見ますし、日常的な家事債務を夫婦の連帯責任だとしています(民法761条、762条)。ひょっとしたら、この様な考え方が「夫婦は一心同体」「何でもお互い責任をとらなければいけない」という風潮を育てているのかもしれません。

しかしながら、そのことと、夫婦の一方が働いた不倫を社会に対してもう一方が謝罪する必要があるかどうかは別。
当然ながら、夫婦の一方の不倫を他方が社会に対して謝る法的な必要性もなければ、道義的な責任もありません。

不倫と「社会的責任」について

とはいえ、実際に不倫のご相談を受けていると、不倫をした相手に「社会的な制裁を加えたい」というご要望があるのも事実。
「奥さん(旦那さん)に知らせてやりたい」「親に知らせたい」「職場に知らせたい」などです。
 
しかしながら…
上に述べた通り、不倫について妻が連帯して責任を取る必要があるわけでもありませんし、同じように不倫について親に責任があるわけではありません。また、職場に知らせるなどすれば別途プライバシー侵害の問題を生じるので、ご注意ください(東京地裁平成20年 6月25日判決(2008WLJPCA06258002)は、不倫された配偶者が職場に不貞の事実を触れ回ったことについてもプライバシー侵害の不法行為の成立を認めています)。

不倫は「社会的制裁」を受けるべきなのかどうか

不倫は本来配偶者に対する民事上の不法行為であって、犯罪行為とは異なります。
ですから、不倫をされて傷ついた配偶者を慰謝(いしゃ)する必要はあるのですが、どこまで社会的な制裁を受けるべきなのかは、社会通念によってその評価は異なりうるでしょう。
 
欧米などでは不倫をしたところで政治家や有名人としての地位を全く落とさない人もいますね。
不倫はどこまで社会的な制裁を受けるべきなのでしょうか。
 
勤務先での処遇についても、不倫があったというだけでただちに解雇相当となるものではありません。
不倫を原因として有名人が広告契約が打ち切りになったり、番組を降板する場合もありますが、あれはあくまで契約自由の中で、企業側がイメージダウンを避けるために起きていることです。
 
不倫はあくまで婚姻関係を危機にさらして精神的不安を与えたことについての配偶者に対する責任です。
その責任が果たされるべきなことは当然ながら、それにとどまらず、社会的な制裁や、まして本来被害者である配偶者の謝罪を促すような風潮があるとしたら、それは改めていくことが望ましいものなのではないかと、私は思います。

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