法律コラム

離婚の話を、子どもに言うべきか、言わないべきか。【男と女の相談室】

離婚の話を、子どもに言うべきか、言わないべきか。【男と女の相談室】

2020.08.24

第8回●子どもに離婚することを伝える時期について、悩んでいます。

法で解決できること=人生においてハッピーエンドか、必ずしもそう言い切れないのが世の常です。権利を獲得し、お金で解決することができたとしても、それが結果、良かったかどうか…は、渦中にいると見えにくいもの。ここでは弁護士水谷がご相談を受けている際、よくクライアント様から受ける相談の法律外のお話をお伝えします。多くの人生に寄り添ってきた彼女だからこそ言える、芯の部分が垣間見えると思います。

■相談内容
離婚を考えています。5歳の女の子がいますが、彼女にどう説明すればいいかで悩んでいます。そもそも、離婚という状況が理解できるかわからないのに、説明が難しく…。何歳ぐらいになったら伝えるべきでしょうか?

■水谷の考え
お子さんがいる中で離婚をした時(もしくは離婚した後)、誰もが悩むのが「子どもへの伝え方」。クライアント様からも相談されることがよくあります。もちろん、お子さんの性別や年齢(実年齢よりも精神年齢)、日頃の信頼関係に合わせて説明の仕方は慎重に、考えなくてはなりませんが、基本的にはどんなお子さんにも説明すべきだとお答えしています。

子どもが置いてけぼりにならないように

離婚の話し合いの渦中にいると、自分たちのことで精一杯になってしまい、子どものケアどころではなくなってしまうかもしれません。しかし、子どもにとっては家族のことなのに置いてけぼりになり、知らないところで話が進んで、急に家族が別々になってしまった…。その結果だけが突然降りかかってくると「教えてくれなかったのは、僕がいい子じゃないから…」「離婚したのは私のせいだ」と、自分のことを責めてしまうそうです。大人にとっては言いにくい事かもしれませんが、子どもたちにとっては、どんなに些細なことでも、年齢がいくら小さくても、わかる言葉で「説明して欲しい」という思いがあるようです。

年齢と性別、性格などを踏まえた上で、言葉選びを考慮して

説明の仕方はその子の年齢や性別、性格や精神年齢にもよりますが、これまでの経験上でお話しさせていただきます。
 
▪️未就学児の場合
まず、未就学児は言葉を選びながら、わかるように説明してあげることが大切です。「離婚」「浮気」など強いキーワードだけがインプットされてしまうと、本質的なことを理解できないまま、単語だけが残ってしまいます。子どもがわかる言葉で、丁寧に、ゆっくり時間をかけて向き合うことが大事です。
 
▪️小学生の場合
小学生以上のお子さんの場合、学年にもよりますが、精神年齢の高い女の子の場合は、包み隠さず話していいと思います。(お母さんの伴侶みたいな感じで並走している子もよくいますので。)
 
一方、男の子の場合はいくつになっても消化不良になりがちで、「嫌なものは嫌」と受け入れられず、荒れてしまう時期があるかもしれません。それでも説明する必要はありますので、「事情があって一緒にいられなくなったけど、いつまであなたのパパとママだよ」「たとえ一緒に生活していなくても、あなたのことは愛しているわ」と、優しく説明するのが良いと思います。それぞれの親が気丈であれば、次第に受け入れ、落ち着くはずです。また、親が感情的になり、メソメソウジウジしてしまうと、子ども自身が自分の感情を出せず塞いでしまうことになるので、気をつけましょう。
 
▪️中学生以上の場合
もうしっかりと理解できる年齢なので、説明しない方が不自然です。「とはいえ、まだあの子は幼いので…」と先延ばしにして隠してしまうと、お互いに良いことは何も良いことはありません。言うタイミングを逃して、どんどん子どもの不信感が募ってしまうでしょう。

どんな些細なことでも、親が勝手に「必要ない」と判断しないこと

私もシングル家庭です。娘には婚姻関係にないことは、随分前から伝えていたのですが、細かな時期のことまでは伝えていませんでした。私的には「時期的なことはどちらでもいいかな」と判断してしまったのですが、娘がそのことに気づいた時に、ひどく怒られました。「どうして言ってくれなかったの!どんなことでも言って欲しかった!」と。その時に、「ああ、大人が勝手に”些細なこと”と、判断してはいけないんだ」と反省しました。子どものことを一人の人間として尊重して考えると、どんな小さなことでも勝手に決めることなく、話すことが大切なのです。

離婚自体は成立してしまえば、基本的には相手との関係は解決します。しかし、子どもとのことは一生続きます。丁寧に、大事に向き合うことで、その後の親子関係も大きく変わってきます。年齢や性別に関わらず、子どもを一人の大人と変わらず尊厳を持って考えれば自ずと答えは出るはずです。難しいと思わず、離婚しても子どもたちの親であることには一生変わりないので、その思いを素直に伝えていければ良いのではないでしょうか?

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