法律コラム

フリーランス新法改正対応!「委任」と「請負」の違いについて【フリーランスに仕事を依頼する際の法律知識】

フリーランス新法改正対応!「委任」と「請負」の違いについて【フリーランスに仕事を依頼する際の法律知識】

2024.09.06

弁護士の藤間です。企業様の関心が高いトピックについて、法律に関わる部分を解説したいと思います。
 
企業がフリーランスに仕事を依頼する際、適切な契約を結ぶことは、スムーズな取引とトラブル回避のために非常に重要です。
 
特に、2024年に施行された「フリーランス新法改正(フリーランス・事業者間取引適正化等法)」に対応するためには、「委任契約」と「請負契約」の違いをしっかり理解しておく必要があります。
 
このシリーズでは、企業がフリーランスと円滑に業務を進めるために必要な法律知識を詳しく解説していきます。
第1回目は、基本となる契約形態について取り上げます。
 

フリーランス契約における基本知識

まず、民法の条文を参照しながら、請負契約と委任契約の基本的な定義を確認しましょう。
 
▪️請負契約(民法632条)
民法第632条では、請負契約について以下のように定めています。
 
「請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対して報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる」
  
請負契約は、仕事の完成を目的とし、その結果に対して報酬を支払う義務が発生する契約です。
 
企業がフリーランスにウェブサイトの制作やイラストの作成を依頼する場合、この契約が該当します。
 
この場合、成果物が完成して初めて報酬を支払う義務が発生します。
  
▪️委任契約(民法643条)
一方、民法第643条では委任契約について以下のように定められています。
 
「委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。」
  
委任契約は、特定の業務や事務処理を他者に委託する契約です。
 
仕事の完成が目的ではなく、業務を遂行すること自体に価値があります。
 
例えば、マーケティング広告運用や継続的なウェブサイトの更新業務をフリーランスに依頼する場合、この契約が適用されます。
 
報酬は、業務の遂行に対して支払う義務が発生し、成果物の完成は必須ではありません。

業務委託契約の種類の理解と業務内容に基づく判断が必要

企業がフリーランスと業務委託契約を結ぶ際、その契約が「請負」か「委任」かを判断する必要があります。
 
業務内容によって、どちらの契約形態に該当するかが変わります。
  
たとえば、フリーランスにイラストの作成やウェブサイトの更新を依頼する場合、具体的な成果物が求められるため「請負契約」に該当します。
 
一方、マーケティング広告運用のように、業務の遂行自体に価値がある場合は「委任契約」に該当します。
  
さらに、契約内容によっては、両方の要素を含む「混合契約」の場合もあります。
 
このような場合、通常は請負契約として扱われ、印紙税が課されることが多いです。

フリーランスへの依頼におけるリスクとメリット

企業がフリーランスに仕事を依頼する際、「請負契約」と「委任契約」の違いを理解しておくことは、リスク管理の観点からも重要です。
 
特に新法改正後は、法的な責任が明確にされ、企業側のリスクがより顕著になります。
 
▪️請負契約のリスク
請負契約の場合、フリーランスに依頼した成果物について、基本的にはフリーランスに完成義務を負わせることができますが、品質や納期に関して、適切に発注をする義務が責任が企業側にも発生します。
 
よくあるトラブルとしては、発注者側の指示や変更によって、納期に間に合わせることができなかったり、品質に問題があったりした場合、契約不適合に基づく修補義務(民法第634条)となる可能性があります。企業は、この点を理解した上で、適切な契約管理を行う必要があります。
   
▪️委任契約のメリット
一方、委任契約では、フリーランスに業務の遂行を委託するため、比較的柔軟に契約を進めることができます。
 
しかし、業務遂行に対する信頼関係が重要であり、フリーランスが善管注意義務(民法第644条)を遵守することを確認する必要があります。

委任契約はいつでも解除できる

委任契約の特徴として、企業側は契約期間中であっても、必要に応じていつでも契約を解除することが可能です(民法651条)。
 
これは、民法第651条で規定されています。
  
「委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。」
 
この規定により、契約書に特段の解除規定がなくても、企業側は自由に契約を解除できます。
 
ただし、フリーランスに不利益が生じる場合や、解除によって損害が発生した場合は、その点についての補償が求められることがありますので、慎重な対応が必要です。

契約書作成時に確認すべきポイント

フリーランスとの契約書を作成する際には、以下のポイントを確認することをお勧めします。
 
特に、フリーランス新法改正に準拠した内容にすることが重要です。
  
①契約の目的/依頼する仕事が、具体的な成果物の完成を目指しているのか、業務の遂行自体が目的なのかを明確にしましょう。
  
②報酬の支払い条件/報酬が支払われるタイミングや条件を確認しましょう。請負契約の場合は、成果物の完成後に報酬を支払う義務が発生することが一般的です。
  
③責任の範囲/請負契約では、フリーランスが成果物の品質に対して責任を負います。委任契約では、フリーランスが業務の遂行に対する注意義務を負います。
  
④印紙税の確認/契約書に印紙税が必要かどうかを確認し、適切に対応しましょう。特に、請負契約の場合は注意が必要です。

経営者の方々へ、適切にアドバイスとサポート致します

企業がフリーランスに仕事を依頼する際、「委任契約」と「請負契約」の違いを理解することは、取引を円滑に進めるために非常に重要です。
 
2024年のフリーランス新法改正に対応するためにも、この違いをしっかり理解し、適切な契約書を作成することで、契約トラブルを未然に防ぐことができます。
 
企業として、フリーランスとの協力関係を良好に保つためにも、この知識を活用してください。
  
このブログでは、今後も企業がフリーランスに仕事を依頼する際に役立つ法律知識を提供していきますので、次回もぜひご覧ください。
  
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