法律コラム

【ショートストーリー離婚編】覚悟の不貞慰謝料請求①

【ショートストーリー離婚編】覚悟の不貞慰謝料請求①

2018.01.05

あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
さて、新年1回目のブログは法律ショートストーリーからスタートです!
このショートストーリーは、当事務所で取り扱いのあった事例を参考に、再構成して作り上げたオリジナルのショートストーリーとなります。解決事例集だけで終わらず「その背後にある人間模様を描きたい」という水谷弁護士の想いのもと取材し、フィクションで作成しております。3話完結で最後に水谷からの解説が入りますので、そちらも合わせてお楽しみに。今回からは不貞慰謝料請求のお話です。

ここ半年で主人の出張が多くなった。
システムエンジニアをしているので、これまでも地方にある取引先の本社や支店などに1~2ヶ月に1度程度、メンテナンス等で出向くことはあったのだが…。2週間に1度になり、今では週に1度「地方に行ってくる」と言っては泊まりで出かけるようになった。そして帰ってくると態度がよそよそしく、お風呂場にまでスマホを持ち込むようになった。
 
「裏切るような行為はやめてほしい」確証はなかったが、夫に詰め寄った。
「わかった、心配かけてすまなかった」と了承したものの、後から考えると夫の心を縛ることで火をつけてしまったようだ。頻度は減ったものの、滞在日数が2泊、3泊…と逆に増えてしまったのだ。
 
不在の度に疑うのも辛くなり、次の出張の時に数十万かけて探偵に依頼した。
やはりクロだった。
 
相手は33歳独身の女性社員。地方に出張と言っていたが、都内にある相手のマンションに泊まり、翌日はなんと一緒に出社していたのだ。
 
主人とは知人の紹介で出会い、30歳で結婚。出版社での仕事を続けていたかったので、お互いのキャリアを尊重しながらDINKS生活を満喫。子どもについても「いつかは授かるだろう」と、忙しいことを理由に話し合う機会もなく、気がつけばもう40目前。さすがに焦り始め、不妊治療について切り出そうと考えていた。
だから、尚更ショックだった。
 
一度の浮気ぐらいで離婚するつもりはない。が、このままほとんど帰ってこない夫を放っておくわけにも行かない。それにしても私たちの将来をどう考えているのだろう。私は不妊治療も考えたりしていたのに…。それにしても、どうして私だけこんな思いをしなければならないのだろうか。とにかく二人の仲を今すぐにでも切り裂いてやりたい。そしてこのズタボロになった心の痛みをあの女にも…!精神的ショックが大き過ぎて、怒りの矛先がどんどん相手の女性に向いていってしまった。
 
もうこれは不貞慰謝料請求しかない。
 
不貞に強い女性弁護士が用賀にいると聞いてアポイントを取った。事情を説明し、探偵からの資料も持参して見せた。しかし彼女の口からは意外な言葉が。
 
「これだけ証拠が揃っていれば問題ないでしょう。でも、相手から慰謝料が取れることと、ご主人が戻ってくることは別。請求したことで、それどころか、もっとご主人の気持ちが離れてしまう可能性は否定できません。それでも請求する、でいいですか?」 つづく
 
法律用語解説:不貞行為
文字通り、不倫のこと。夫婦には、婚姻相手と肉体関係をもってはいけないという「貞操(ていそう)」の義務があるとされています。婚姻相手以外の男女と肉体関係を持ってこの義務に違反することが「不貞行為」です。慰謝料の対象になるのはずばり肉体関係があった場合のみで、食事に行ったとか、手をつないだとかでは、基本的には損害賠償の対象にはなりにくいと言われています。
 
 
いかがでしたでしょうか?2018年もこのオリジナルのショートストーリーはじめ、飛躍してまいりたいと思いますので、応援の程よろしくお願いいたします!

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