法律コラム
協議離婚の場合、公正証書を作成した方がいいのか【離婚の基礎知識④】
春は出会いと別れの季節です。世田谷用賀法律事務所では、離婚のご相談が最も増える時期。そこで、多くの家事裁判を担当してきた代表・水谷弁護士が、改めて離婚への基礎知識をシリーズでお伝えいたします。
今回は公正証書(こうせいしょうしょ)について。
協議離婚の時に公証役場(こうしょうやくば)で公正証書を作ることがあります。それにはどんなメリットがあるのでしょうか。
公正証書を作る「公証役場」とはどんなところか
公証役場とは、公証人法によって法務局管轄で全国各地に設立された機関で、全国約300箇所に設置されています(役場とつくので、どうしても市役所や裁判所などと勘違いされる方がいらっしゃいますが、全く異なりますのでご注意ください)。
実際には、私人(間)で作成した権利・義務を発生させる合意書、遺言書などを文書化したり(=公正証書)、私人が作成した文書について作成名義に相違がないことを認証するところです。具体的には不動産などの売買、お金の貸し借りの約束、遺言など、法律行為に関するものは公正証書にすることができます。
協議離婚の時でいうと、夫婦間で合意した離婚の条件や取り決め(養育費、財産分与、慰謝料など)を記した公正証書を作成することで、離婚成立後のお互いの権利と義務を固めることができます。
一般的には、離婚届を提出する前に公正証書は作成されることが多いですが、双方の合意があれば、離婚後でも作成することは可能です。
国の公証制度に基づいて法務省に属する公証役場で作成される公文書ですので、作成は公証人が行ないます。
公正証書は公文書として高い信用力を備えている
すべての離婚協議書を公正証書にする必要があるわけではありません。
ではわざわざ公正証書に残すのはどういう場合か。
公正証書は「一定額を確定時期までに支払う」という金銭の支払いを定めた条項について、「不履行の場合は強制執行を受けてもやむをえない」という強制執行を、あらかじめ受諾する文言(強制執行受諾文言)を入れることができます。そうすることで、裁判での判決や調停での調書を得たのと同じく、単なる離婚協議書に強制執行余地を持たせることができるのです。
養育費のような長期間にわたる継続的な支払いを受ける場合や、慰謝料や財産分与などを分割で受け取る際には、もし支払いが止まってしまっても差し押さえができるように公正証書にしておくことで、支払いを受ける側(多くは女性ですが)にとってメリットが大きいのです。
公正証書にすることで、実際に養育費未払いが防げるのか
「養育費は支払われないことがほとんどである」とか、「途中で止まってしまうことがほとんどである」という報道もありますし、事実そういった実態はあります。
しかしながら、公正証書にしたり、調停調書や判決などの裁判書がある場合には、支払う側は支払いを止めたらお給料に差し押さえをかけられ職場に知られてしまうリスクを負うことになります。ですから、安定した勤め先を持つ給与所得者の場合は、安定的に支払われることが多いように思います。
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