法律コラム

中居氏とフジテレビ問題、第三者委員会報告書と守秘義務解除について【代表弁護士コラム】

中居氏とフジテレビ問題、第三者委員会報告書と守秘義務解除について【代表弁護士コラム】

2025.04.23

代表弁護士の水谷です。
「弁護士と読む時事ニュース、ホントのところ」というテーマで、世の中で注目されている時事問題について、法律に関わる部分の解説をしたいと思います。
 
今回は長引くフジテレビ問題を取り上げます。
2025年3月31日、フジテレビから第三者委員会の調査報告書が公表されました(調査報告書はこちら)。
 
別冊を含めると350頁近くにもなる、とてつもない長編でした。
  
これだけ長編になったのは、単に一般的な事実関係や委員会の見解だけでなく、中居さんと女性との間の出来事について、前後、関係者を含め細部のやりとりが具に記載されていたことにもよります。
  
今回は第三者委員会報告書と「守秘義務解除」について解説いたします。

TV局関係者と中居さんとのやりとりの開示について、違法性はないのか

第三者委員会の調査に対してとはいえ、プロデューサーと中居さんとのSNSと思われるメッセージのやりとりそのものまでをも抜粋した詳細な聞き取りに驚きました。
 
これらは、いずれもテレビ局関係者から開示されたもののようで、当然、中居さんから積極的な同意はなかったことが予想されます。
 
中居さんは、テレビ局関係者に経緯を明らかにされることに文句は言えないのでしょうか。
  
もちろん、今回のことでいえば、中居さんがNOと言える立場にはないかもしれません。
  
しかしながら、個人間のやりとりを第三者に話すことは、本質的にはそれが本当のことであってもプライバシー侵害に当たります。
  
とはいえ、今回は第三者委員会からの調査であったので、違法性が阻却され、中居さんはこれについて文句を言うことはできないことになります。

女性と中居さんのやりとり、示談内容を除いて明らかに

女性との当日前後の経緯については、女性が中居さんと二人きりになってから何がおきたのか、という点と、示談内容を除いては、同様に時系列が明らかになっていました。
  
これは、同様に、おそらく女性側が積極的に開示したものと思われます。
 
実際に部屋の中で何があったの?どんな示談をしたの?という点が最も一般の人の知りたいところだと思いますが、そのところだけは記載がありません。
  
この点、第三者委員会の報告書によれば、「当委員会が双方の代理人弁護士と協議した結果、2023年6月2日に女性Aが中居氏のマンションの部屋に入ってから退室するまでの事実」及び「示談契約の内容」が守秘義務の対象事実であることを特定し、この部分以外については双方が当委員会のヒアリングに応じることを確認した」とあります。

「守秘義務の対象事実であることを特定」の記載から読み取れること

「守秘義務の対象事実であることを特定」ってなんだかおかしな記載ですね。
 
なぜすでに成立した守秘義務契約なのに、改めて内容を確認しているの?と疑問に思われる方もあるかもしれません。
 
実際の示談書では「示談に至る一切の事情」と「示談の内容」が守秘義務の対象だったのだと思います。
 
それが、損害賠償の和解では一般的な内容だと思います。
   
そうだとすると、一説によれば9000万円もの金銭を受け渡して和解したのだから、本来は一連の事実を第三者委員会にも互いに話してはいけません。
   
でも、第三者委員会の調査に対して、フジ関係者が話しているのに、ここだけ当事者が隠したらさらなる批判にさらされます。
  
そこで、この核心となる2つの部分以外については、中居さんも開示OKにしたのでしょう。
 

「守秘義務の解除」が意味することとは

核心となる2つの点についても、女性は開示してもいいと言ったのに、中居さんはNO。
 
示談金が取り交わされていることもあり、さすがにこの部分については女性も開示しないことにしたのでしょう。
  
それが「2023年6月2日に女性Aが中居氏のマンションの部屋に入ってから退室するまでの事実」及び「示談契約の内容」が守秘義務の対象事実であることを特定”の意味であると思います。
  
ニュースでは中居氏は「守秘義務の解除」に応じず、女性は応じたということが取りざたされていますが、それはこのような経緯によるものであったと思われます。

一般民事の現場から、「口外禁止条項」とは

一般に、不貞行為・不当解雇・名誉棄損といった一般民事案件で、一方が一方にお金を支払って和解する場合において
   
「当事者は、正当な理由がない限り、和解に至った一連の経緯及び和解の事実・内容を第三者に口外、一般に公開しない」
  
という文言が設けられることがとても多いです。 
     
これは、一般の人に知られたら困るというプライバシーの観点もありますが、お金を払う側にとっては、一定額を払うのだからその対価として秘密裡を保ってほしいというニーズがあることもあります。
     
とはいえ、単なるお約束で、人の行動を縛れるわけではないのですから、一方が約束に違反してその後外部に漏らすを「絶対に」防ぐことはできません。
  

もし「示談」した内容を口外したらどうなる?

では、万が一これに違反して、示談したのにむやみに口外してしまったら?
  
契約違反ですから、債務不履行として新たな損害賠償問題となります。
  
今回の件では、たとえ第三者委員会の調査といえども、女性の側も中居さん側と目線を合わせることなく事実の開示はしなかったのだと思います。
   
取り交わされた金額の大きさ、事案の重大性を考慮すれば、それが当然のこといえるでしょう。
  

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