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第八回●「相続させる」に登記必要

2019年より民法に含まれる相続に関する規定(相続法)の改正が順次施行されます。
前回の大幅な改正は1980年のことで、相続に関する規定は40年ほど見直されておらず。その間に、高齢化や家族形態の変化、社会の考え方の変化も生じているということで、相続法大改正が施行されることに。どんな改正が行われるのでしょうか、シリーズで解説します。今回は「『相続させる』に登記必要」について。

【内容】
「相続させる」旨の遺言があっても、法定相続分を超える部分については、登記等の対抗要件を具備しなければ、債務者・第三者に対抗することができないものとしました。

【趣旨】
最判平成5年7月19日は、相続分の指定による不動産の権利の取得については、登記なくしてその権利を第三者に対抗することができるとし、最判平成14年6月10日は、いわゆる「相続させる」旨の遺言についても、特段の事情がない限り、「遺産分割方法の指定」(民法第908条)に当たるとした上で、遺産分割方法の指定そのものに遺産分割の効果を認め、当該遺言によって不動産を取得した者は、登記なくしてその権利を第三者に対抗することができるとしています。

「相続させる」旨の遺言等により承継された財産については、登記なくして第三者に対抗することができるとされていた現行法の規律を見直しました。 遺言の有無及び内容を知り得ない相続債権者・債務者等の利益や第三者の取引の安全を確保し、登記制度や強制執行制度の信頼を確保することにもつながります。

なお、遺産分割と登記について最判昭和46年1月26日は「…遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずるものではあるが、第三者に対する関係においては、相続人が相続によりいつたん取得した権利につき分割時に新たな変更を生ずるのと実質上異ならないものであるから、不動産に対する相続人の共有持分の遺産分割による得喪変更については、民法一七七条の適用があり、分割により相続分と異なる権利を取得した相続人は、その旨の登記を経なければ、分割後に当該不動産につき権利を取得した第三者に対し、自己の権利の取得を対抗することができないものと解するのが相当である…」と判示しています。また、最判昭和39年3月6日は、遺贈による不動産の取得についても、登記をしなければ、これを第三者に対抗することはできないとしています。

改正は、これらの判例をまとめ、法定相続分を超える分については一律に登記を要するとしたものになります。


【施行時期】
2019年7月から適用されます。
改正法は、施行後に開始された相続に対してのみ効力をもちます。

【条文】
(改正後)
新設
(共同相続における権利の承継の対抗要件)
第899条の2
相続による権利の承継は、遺産の分割によるものかどうかにかかわらず、次条及び第九百一条の規定により算定した相続分を超える部分については、登記、登録その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができない。
2前項の権利が債権である場合において、次条及び第九百一条の規定により算定した相続分を超えて当該債権を承継した共同相続人が当該債権に係る遺言の内容(遺産の分割により当該債権を承継した場合にあっては、当該債権に係る遺産の分割の内容)を明らかにして債務者にその承継の通知をしたときは、共同相続人の全員が債務者に通知をしたものとみなして、同項の規定を適用する。


相続法改正についてはシリーズでお届けします。合わせてご確認ください。
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