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第四回●遺産分割前の払戻し制度の創設・その2

2019年より民法に含まれる相続に関する規定(相続法)の改正が順次施行されます。
前回の大幅な改正は1980年のことで、相続に関する規定は40年ほど見直されておらず。その間に、高齢化や家族形態の変化、社会の考え方の変化も生じているということで、相続法大改正が施行されることに。どんな改正が行われるのでしょうか、シリーズで解説します。今回は「遺産分割前の払戻し制度の創設・その2」について。

【内容】
預貯金債権に限り、家庭裁判所の仮分割の仮処分の要件が緩和されました。

【趣旨】
これまでも、家事事件手続法200条2項は、「家庭裁判所は、遺産の分割の審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は事件の関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者又は相手方の申立てにより、遺産の分割の審判を本案とする仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。」と規定して、預貯金債権について仮に分割させる仮処分をとることができるとしていました。

改正は、預貯金債権については、この要件(事件の関係人の急迫の危険の防止の必要があること)を緩和し、「相続財産に属する債務の弁済、相続人の生活費の支弁その他の事情により遺産に属する預貯金債権を行使する必要があると認めるとき」は、「他の共同相続人の利益を害しない限り」遺産に属する特定の預貯金債権の全部又は一部を仮に取得させることができることにしたものです。


■遺産の分割前に遺産に属する財産が処分された場合の遺産の範囲
【内容】
遺産分割前に財産が処分された場合であっても、共同相続人全員の同意により、処分された財産を遺産分割の対象に含めることができるようになりました。
当然、当該処分をした共同相続人の同意は不要です。

【趣旨】
これまで、相続開始後に共同相続人の一人が遺産に属する財産を処分した場合でも、これを遺産分割の対象とすることができず(遺産分割当時存在しない預貯金は分割の対象とされない(東京家審昭和44年2月24日、家月21巻8号7頁))、あくまでそれは民事訴訟における不当利得の問題だという整理で、計算上不公平が生じていました。
改正は、これを是正するものです。

【施行時期】
2019年7月から適用されます。
改正法は、施行後に開始された相続に対してのみ効力をもちます。

【条文】
新設
第906条の2遺産の分割前に遺産に属する財産が処分された場合であっても、共同相続人は、その全員の同意により、当該処分された財産が遺産の分割時に遺産として存在するものとみなすことができる。
2前項の規定にかかわらず、共同相続人の一人又は数人により同項の財産が処分されたときは、当該共同相続人については、同項の同意を得ることを要しない。

相続法改正についてはシリーズでお届けします。合わせてご確認ください。
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