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第三回●遺産分割前の払戻し制度の創設・その1

2019年より民法に含まれる相続に関する規定(相続法)の改正が順次施行されます。
前回の大幅な改正は1980年のことで、相続に関する規定は40年ほど見直されておらず。その間に、高齢化や家族形態の変化、社会の考え方の変化も生じているということで、相続法大改正が施行されることに。どんな改正が行われるのでしょうか、シリーズで解説します。今回は「遺産分割前の払戻し制度の創設」について。

【内容】
預貯金債権の一定割合(金額による上限※あり)については、遺産分割を待たずに金融機関の窓口における支払を受けられるようになりました。

※各口座ごとに以下の計算式で求められる額
【計算式】
単独で払戻しをすることができる額=(相続開始時の預貯金債権の額)×(3分の1)×(当該払戻しを求める共同相続人の法定相続分)(ただし上限150万円)


【趣旨】
これまで、可分債権たる預貯金は法定相続分に応じて当然に分割取得され遺産分割の対象とされていたものが、平成28年12月19日最高裁大法廷決定により、
①相続された預貯金債権は遺産分割の対象財産に含まれることとなり、
②共同相続人による単独での払戻しができない、
ことになりました。
これによって、一部の相続人による預貯金の不当な引き出しができなくなった一方で、金融機関は、分割協議の成立までは、家庭裁判所の仮処分がない限り、預貯金の引き出しをさせることができなくなり、葬儀費用や医療費などの支払いにも遺産を充てることができず、その硬直的な運用が問題になりがちでした。

今回の改正により、遺産分割における公平性を図りつつ、相続人の資金需要に対応できるようになりました。

【施行時期】
2019年7月から適用されます。
改正法は、施行後に開始された相続に対してのみ効力をもちます。

【条文】
民法909条の2(新設)
各共同相続人は、遺産に属する預貯金債権のうち相続開始の時の債権額の三分の一に第九百条及び第九百一条の規定により算定した当該共同相続人の相続分を乗じた額(標準的な当面の必要生計費、平均的な葬式の費用の額その他の事情を勘案して預貯金債権の債務者ごとに法務省令で定める額を限度とする。)については、単独でその権利を行使することができる。この場合において、当該権利の行使をした預貯金債権については、当該共同相続人が遺産の一部の分割によりこれを取得したものとみなす。


相続法改正についてはシリーズでお届けします。合わせてご確認ください。
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