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おはようございます。
今日はオリジナルの法律ショートストーリー「当事者は誰だ?1」の2話目となります。突然、同僚の男の元へ行ってしまった妻。さみしい思いをさせた俺が悪い、と相手方の両親からも責められ、自分の両親も憤慨して…。さて、これからどうなるのでしょうか?

解決だけでは終わらないドラマがある
法律ショートストーリー
第10話 当事者は誰だ?②



Photo by paul mocan on Unsplash

早速、父の友人の紹介で用賀の女性弁護士にお願いをすることになった。
弁護士との打ち合わせ初日、当然のごとく両親そろって興奮気味でやって来た。
紹介してくれた父の手前もあるし、初日だったので黙っておいたが、両親の怒りが爆発。結婚当初の不満からこれまでの相手家族の対応、嫁は不倫した上に息子のせいにした…など、とにかく典子一家に対する不満を弁護士にぶつけていた。

(そんな昔の話はいいから、これから先の話をしてくれよ…)

内心そう思いながらも、またここで辟易してしまった。
小さな頃から場の空気を読めていた俺は、自分の思っていることを素直に声にできなかった。
なるべく穏便に、事をこれ以上荒立てたくなかったのだ。

特に母はエスカレートして完全に暴走している。
「先生、もちろん嫁が勝手に男を作って出て言ったんですから、離婚の有責は嫁ですよね。ということは、慰謝料も最低でも500万ぐらいは請求してもらって…。先生、調停には私たちも同席する覚悟です。」

「お父様、お母様、本当にお辛かったですね。しかし残念ながら、調停へはご本人と弁護士だけの入室となります。あとは、私にお任せくださいませ。慰謝料などの話の前に、もう少し離婚されるご本人たちの思いを伺いたいので、次回は雅之さんとじっくりご相談させて頂けたらと思います。お二人のお気持ちは痛いほど伝わりましたので、ご安心くださいませ。」

こう締めくくって、打ち合わせを終了してくれた。
母は一瞬は面食らった様子だったが、私がすかさず
「わかりました、次回は僕一人で伺います。スケジュールは確認してメールしますね。今日はありがとうございました。」
と挨拶をして事務所を後にした。


2回目の打ち合わせ日時は両親には伝えず、一人で訪れた。
「前回は両親がすみませんでした。色々不満が溜まっていたみたいで」
「大変ですね。周りが盛り上がれば盛り上がるほど、ご本人の意思が置いてけぼりになることがよくあります。
しかし、これは雅之さんと典子さんの問題です。実際にあなたはどう思っていらっしゃいますか?今後、どうされたいのですか?」

ここで初めて典子との今後について、突きつけられた気がした。

俺はどうしたいのだろう。別れたいのか。そもそも、典子はどういう気持ちだったのだろう。どうしてそうさせてしまったのだろう。

「正直、わかりません。離婚したいのかどうかさえも。母の言う慰謝料請求なんて想像もつかないです。とにかく頭の中にある疑問は一つだけ『どうしてこんなことになったのか』。出て行かれてから一度も典子と話せていませんので…。少なくとも、僕にも問題があったから、出て行ったわけですし。どうしたいかと言うと、きちんと向き合って二人で話しがしたいです。」

「そうですね。雅之さんの気持ちにその意思があってよかったです。やはりお二人がしっかりと向き合わないことには本当の解決には至りません。まずは、自分自身と向き合って、あとは典子さんともきちんと向き合うことが第一歩です。それからどうするか、今後の話し合いは弁護士にお任せください。この作業をしなければこれからの人生、前に進むことはできないと思います。」

そうだ、彼女の言う通りだ。

例え離婚しても、慰謝料が取れたとしても、今のまま何も分からなければ、前に進むことはできないだろう。

「もう一度、あって話がしたい。と伝えていただけますか?」
「わかりました。相手の弁護士に連絡を取って、雅之さんの意思を伝えてみます」(続く)


法律用語:調停
離婚事件は訴訟の前に調停を行う決まりになっています。調停は、裁判所における話し合いの手続きですが、離婚を検討する夫婦とその代理人、つまり当事者以外の方は、たとえご両親様であっても調停室に入室することはできません。