田園都市線、用賀駅すぐにある弁護士・司法書士事務所。世田谷区や横浜で弁護士をお探しの方、相続、離婚、不動産でお悩みの方はぜひご相談を。

おはようございます。今日からまた新しい法律ショートストーリーのスタートです!当事務所で取り扱いのあった事例を元に取材し、再構成したオリジナルの作品となっております。「人生により近いところで仕事がしたい」という水谷弁護士の思いを形にしようと、企画が始まって早1年。離婚や相続問題を中心に9つのお話をご紹介することができました。さて、今回はどんな人生模様が見られるのでしょうか。

解決だけでは終わらないドラマがある
法律ショートストーリー
第9話 慰謝料なんていらない①



Photo by Heidi Sandstrom. on Unsplash

28の時にお見合い結婚をして以来、連れ添ってもう25年にもなる。
薬剤師としての仕事を辞めて、夫・和樹の銀行員としての仕事を支えてきたつもりだ。子どもこそいなかったけれど、愛犬家の私たちは小型犬を何匹も飼い、我が子のように可愛がった。

そんな夫が半年前に出て行ったっきり、帰ってこない。
もう50半ば過ぎたリタイア間近のいいおじさんが、まさか40代の女性に熱をあげるなんて。これまで25年間浮いた話一つなく、寡黙で仕事ひと筋の生真面目な夫だったのに…一体何があったのか? 全く理解ができなかったが、夫が「すまない」とひと言、書き置きを残して出て行って以来、帰って来ないのは事実だ。

わたしの両親はすでに他界していたが、それがせめてもの救いだ。高齢の両親に今更、そんな心配はかけたくない。友人に相談するのも恥ずかしく、誰にも相談できずにいた。

和樹のお父さんは82でご健在、老人ホームに入りながら余生を過ごしているのだが、月に1度は必ず二人で訪れていた。和樹が家を出て行ってからも一人で面会には訪れていた。これまでお義父さんにはとても可愛がってもらっていて、孫を抱かせてあげられなかった後ろめたさもあったからだ。
「あいつは?和樹はどうした?」
「出張続きで…体調壊したみたいです。もう私達も50過ぎですからね」
どうして私が出て行った旦那のお父さんに気を使わないといけないのよ。内心ふつふつとしていたが、説明したところで余計な心配をかけるまでだ。


最初の1ヶ月は「このまま余生も一緒に過ごせると思っていたのに」時々メールをしたり返信を待ちながらも心配していた。しかし2ヶ月、3ヶ月、音信不通でやり過ごされると、これまで25年間の結婚生活はなんだったのか。怒りを通り過ぎ、半年も経つと、もうどうでもよくなってきた。
私だって夫婦生活に我慢がなかった訳ではない。仕事をやめ専業主婦となり、度重なる転勤にも文句を言わずについて行った。その度にその地でできた友達との別れがあり、また新しい土地での自分の居場所探しも常だった。

もう天涯孤独でもいい。これからの人生、自分のために生きよう。主人とはきっぱり別れよう。

以前、友人が相続で相談した世田谷の弁護士事務所のことを思い出して、ひとまず相談に行くことに。弁護士と挨拶もそこそこに、開口一番、私はこう切り出した。
「夫が半年出て行ったっきり帰ってきません。取引先で出会った女性のところに居候しているようです。子どももおりませんし、もうどうでも良いので早く離婚したいのですが、慰謝料も特に要りません。今、住んでいる旦那名義のマンションだけもらいたいのですができますか?」


法律用語解説:離婚事由
民法が定めた離婚できる要件のこと。不貞、悪意の遺棄、強度の精神病、生死不明、そして「婚姻を継続しがたい重大な事由」がこれにあたる。


熟年離婚も増え続けておりますので、実際、多くのご相談をお受けしております。次週、どんな展開になるのでしょうか、お楽しみに!