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前回から始まりました、不貞慰謝料請求のお話です。
結婚10年目の夫婦に危機が訪れました。出張続きの夫に探偵を雇い、疑惑が確証へと。
不妊治療を始めていた綾のプライドはボロボロに傷つけられ、怒りの矛先は不倫相手へと__。
弁護士事務所へ相談に行くと、意外な答えが返ってきたのでした。

解決だけでは終わらないドラマがある
ショートストーリー 法律の向こう側
第8話 覚悟の不貞慰謝料請求②



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弁護士は続けた。

「不貞行為によって精神的ダメージを負わされた、このことに対して慰謝料を請求することは問題ありません。しかし、その後のご夫婦お二人の仲を修復できるかどうか、それは別問題です。不貞相手に慰謝料を請求したからと言って、ご主人が綾さんの元に戻ってくるかどうかはわからない、というのが本音です。慰謝料請求をし、慰謝料こそ手にしたけれど、ご主人が戻っていらっしゃらなくなり、結果として離婚につながるケースも正直多いです。そこまでの覚悟が今の綾さんにおありですか?」

「え…?」
一瞬、面食らってしまった。

と言うのも、弁護士事務所に相談に行くと、この状況だといくら慰謝料が取れるのか、どんな証拠があれば不貞を確実に立証できるか…と言った実務的な話になるのだとばかり思っていたからだ。

「現時点で離婚されるお気持ちはないのですよね?
なんとかして二人の仲を裂きたい、その後はご主人に帰ってきてほしい、そして婚姻関係を続けたい。そう思っていらっしゃるのなら、慰謝料を獲得することと、夫婦仲の修復は別だということ、よくわかった上でやりましょうね。」

今までプライドを傷つけられた怒りのあまり、自分が冷静さを失っていたことに気がついた。
そうか、慰謝料を請求することと、夫との仲を修復することは別問題なのだ…。相手に慰謝料請求をすることで相手との中は裂かれて、結局自分の元に戻ってくるとばかり思っていたのだ。そのまま夫が相手との生活を選ぶこともあり得るし、例え相手との仲が裂かれたとしても、戻ってきた夫と私は復縁できるかどうか…。

以前「裏切るような行為はやめてほしい」と釘を刺した。それでも止めなかったと言うことは、夫はもう私とは続ける気がないのか?それぐらい相手に熱を上げてしまったのか?

もし、子どもがいたなら状況は変わってくるのだろうが、望んでいたが恵まれなかった。それに私も仕事を続けているので、離婚したところで自分一人の生活には困らない。それでも夫と復縁したいのか…。

「戸惑わせてしまったでしょうか。でもまずはご自分ともう一度しっかり向き合って。どうしたら自分が前に進めるのかを第一に考えてください。どうしてこうなったのか、今の問題はなんなのか、今後どうしていきたいのか。

慰謝料請求してもご主人は必ず帰ってくる。
あるいは、慰謝料請求してご主人とは離婚でいい。
どちらかの確信を持っていただいて初めて、慰謝料の請求をする意味があると思います。

もし復縁されたいお気持ちもあるのなら、お二人でじっくり話し合うことが最も大切です。心が決まれば、私たち弁護士ははいつでもお手伝いできますが、夫婦仲の修復は、ご夫婦二人でしかできません。」

少し目が覚めた気がした。私はどうしたいのか__。
「ありがとうございます。もう一度、自分と向き合ってみたいと思います。」

「ご自身の気持ちにしっかりと踏ん切りがつかなければ、次へ向かって進めませんよ」

法律用語解説:慰謝料
損害賠償のうち、精神的な苦痛に対するもののこと。不貞慰謝料は、事案にもよりますが50万円~300万円が一般的。芸能人の離婚で慰謝料数千万円!のような報道は、厳密には慰謝料でなく財産分与などであることが多いです。