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おはようございます!久々に秋らしく清々しい連休となりましたね。いかがお過ごしでしたか?
さて、今週も頑張って参りましょう。今日のショートストーリーはいよいよ「生前贈与」の最終話です。どんな決着がついたのでしょうか?(まだご覧になっていない方は生前贈与①生前贈与②を参照ください!)

解決だけでは終わらないドラマがある
ショートストーリー 法律の向こう側
第七話 生前贈与③



Photo by Sonja Langford on Unsplash

後日、用賀の弁護士より連絡があり、妻と一緒に事務所へ訪れた。
「やはり、公正証書を確認しましたところ持戻し免除の意思表示がありました。『生前贈与を戻さないでほしい』と言う、お父様のご意志です。また、弟さんには『お店を継ぐ』と言う合理的な事情がありますので、お父様の意思表示はおそらく認められるかと…。
本来であれば、長男である悟さんの遺留分を侵害しない範囲で、持戻し免除の意思表示を行わなければならないのですが。でなければ、このように残された家族に火種を残してしまう結果になりかねません。もし悟さんが遺留分減殺請求を起こせば、遺留分を侵害する限度でこの意思を失効することもできます。」

「そうですか。まぁ父の店の味を守ってくれているのも弟ですし、持戻ししてしまったらその味も無くなってしまうわけですから。父の店を継承することは僕にはできなかった。それに父が病床についてからもずっとついて、最期まで看取ってくれたわけですから…。僕が何も言う資格ないですよね。」

何か吹っ切れた気がした。たとえ事前に相談されていても、何か心にわだかまりは残っていたと思う。死んでもからも「戻してくれるな」と明確に自分の意思を示していたのが、なんだか父らしい。


そして私は弁護士に告げた。

「それではこの父の意思のまま進めてください。こちらは異論ありません」
「わかりました。それでは弟さんにそうお伝えしておきます」


その数日後、改めて弁護士より連絡があった。
「弟さんに悟さんの意思をお伝えしましたところ『兄には悪いと思っています。でも、この店がなくなってしまうと困るのも事実です。でも兄の遺留分は侵害したくないので、預貯金の2000万円は兄に相続してもらいたいと思っています。』とのことでした。不動産の6000万分は弟さんに、預貯金の2000万円は悟さんに、と言うご意向です。お父様のご意思も尊重しつつ、悟さんの遺留分も確保されました。」


「そうでしたか。先生、本当にありがとうございました。先生に相談していなければ父の意思も確認できませんでしたし、弟家族や父の店も潰してしまっていたかもしれません。これで、心置きなくシアトルに帰れます。」


弟の店も営業再開したので、最後に寿司をつまんで帰ろう。私は父の寿司が大好きだった。この店がなくなると困るのは、この私なのだ。(終)


法律用語解説:持戻し免除とは
生前に故人から贈与などの特別な利益(特別受益)を受けた人がいる場合、これを相続財産に戻して(=持ち戻して)遺産を分けるべきとされます。
これをあえてしないでほしいと故人が遺言で表示すること、これが持ち戻し免除の意思表示です。



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いかがでしたか?生前贈与という相続のカタチにもさまざまな人間模様がありますね。法律用語や勝ち負けだけでは語りきれない、そんなストーリーをこれからもお伝えできればと思っております。次回はこの「生前贈与」に関する解説編を水谷よりお送り致します。お楽しみに!