田園都市線、用賀駅すぐにある弁護士・司法書士事務所。世田谷区や横浜で弁護士をお探しの方、相続、離婚、不動産でお悩みの方はぜひご相談を。

おはようございます。週明けからめっきり冬のような寒さですね。寒暖差に体調をお気をつけくださいませ。
そして今日は先週から始まりました、法律ショートストーリーの新シリーズ「生前贈与」の第二話をお届けします。父親の死をきっかけに生前贈与の事実を知ることになった長男の悟。残された兄弟はこの状況をどのように乗り切れば良いのでしょうか?(生前贈与①はこちら

解決だけでは終わらないドラマがある
ショートストーリー 法律の向こう側
第七話 生前贈与②


Photo by Grzegorz Mleczek on Unsplash

実家が弟に生前贈与されていたなんて。

確かに、家業を継いだのは弟だ。店を継ぐ者としては当然なのかもしれないが、それにしても、父から事前に相談があっても良いのではないか? いくら海外赴任中だとは言え、ひと言言ってくれても良かったのに。知らない間に相続されていたなんて。こんな形で知りたくなかった。
気持ちの持って行きどころがなく、モヤモヤした気持ちが、次第に苛立ちへと変わっていった。

まずは高校時代の同級生で弁護士をしている山下のところに相談に行くことにした。

「不動産の評価価格は6000万円+預貯金が2000万なので、相続分は合計して8000万円。通常であればこれを二人で分けるので、本来ならそれぞれ4000万ずつだ。でも今なら預貯金分しかないので1000万だ。これはさすがに不公平だよな。弟に3000万ぐらい預金があればお前にそれを渡して、店を売らずに済むが…。どうする、悟。これは兄弟間で確実に争うことになるぞ。弟は店がなくなると食って行けなくなるし。親父さんも店のことだけでなく、もう少し残された兄弟のことを考えてくれても良かったのにな。」


山下のところに相談しても、余計に気持ちの持って行きどころがわからなくなってしまった。
長男としての権利もあるけど、弟家族の職を失うわけにもいかない。弟一家と争ってまで、自分の長男としての権利を主張する話なのだろうか。

妻に相談すると、同じ思いのようだった。今まで親父を支えてきてくれたのは、紛れもない、弟家族だったのだ。その恩ももちろん感じている。しかし…。
彼女の知人で相続に強い女性弁護士が用賀にいるとのことだったので、別の弁護士にも相談してみることにした。

その用賀の女性弁護士曰く、
「公正証書遺言があるなら、まずはそこを確認してみる必要がありますね。もしかしたら『生前贈与を戻さないで欲しい』という遺言も一緒に残されているかもしれません。その場合、無理くり権利を主張してもお父様のご意志に逆らうことになりますから。」

確かに。親父の思いを確認できるなら、是非しておきたい。それを知ることで自分の気持ちに決着つけられるかもしれない。

「それでは先生、公正証書遺言書の方確認していただけますか?」(続く)


法律用語解説:特別受益とは
故人から生前に贈与を受けたりした相続人がいる場合、その人が相続人と同じ相続分を受けると不公平になってしまいます。そこで、生前贈与などを故人の遺産に加えて(=持ち戻して)計算し、各相続人の相続分を算定します。これが特別受益の持戻しです。特別受益にあたるものは、
●遺贈
●結婚や養子縁組のための財産の贈与
●住宅資金など、生計のための財産の贈与
などがあります。


Photo by ?lvaro Serrano on Unsplash