田園都市線、用賀駅すぐにある弁護士・司法書士事務所。世田谷区や横浜で弁護士をお探しの方、相続、離婚、不動産でお悩みの方はぜひご相談を。

先週からははじまりました先妻の子と後妻家族との「争族」問題ショートストーリー。
相続の時に家族関係が複雑だと、トラブルも一層複雑化する傾向にあります。
唯一の肉親だった父親を亡くした今、もう後妻家族との関係は断ち切りたい思いの主人公。
しかし、相続をめぐって色々な思惑が錯綜することに…。

解決だけでは終わらないドラマがある
ショートストーリー 法律の向こう側
第五話 法定相続人② ~先妻と後妻とその子どもたち~




私は、用賀の女性弁護士の事務所に訪れ、思いを打ち明けた。
「そうでしたか。大変でしたね。すみれさんはそのご家族とはあまりもめたくはないのですね?」

もめたくもないし、どちらかと言うと関係を終わりにしたい。
私の血縁はもう誰もいなくなってしまった。だからと言って、後妻家族を自分の家族とも思えないし、お互い”しがらみ”に縛られたくもない。

「お金に関しては均等に分配できますが、問題は不動産です。複数人で相続するなら共有では?と皆さん考えがちなのですが、あまりおすすめできません。売って分ければその点単純ですが」

みんなで相続…となると関係性は続くことになる。それは御免だ。しかもその後、それぞれに子どもが生まれたらまたそこで細分化され、関係がややこしくなっててしまうのは目に見えている。
かと言って、父と母が作り上げた事業を、簡単に潰して売却してしまうのも如何なものか…。

弁護士は続けた。
「代償分割というのがあります。誰かに不動産を取らせて、価格のアンバランスをお金で調整するんです。事業用不動産は複数人で維持管理するのは大変ですから、キャッシュが十分ならそれがいいですね。『寄せて分ける』んです。」

「そうですか。ちょっといったん考えさせてください。」そう言って事務所を後にした。


学生時代の友人が弁護士事務所で働いていることを思い出した。その子の意見も聞いてみたい。
早速彼女に連絡すると、事務所の先生に相談した方が良いアドバイスくれるから、とアポを取ってくれた。

後日、その友人の働く弁護士事務所に訪れた。そこの先生曰く、
「相続はね、お金も不動産も全て均等に分割すべきというのが民法の定めです。きっちり分けるなら等分に分けるべきです。誰かの手に渡すのは、あとあと後悔することになるかもしれませんよ。それだったらビジネスとして考えて、あちらのご家族と一緒に受継げばいいじゃないですか」

この人の言っていることは間違ってはいない。正論なのかもしれない。取り分取り分という点では妥当な意見なんだろう。

でも、不動産を通じて後妻家族とやりとりが永久に続くなんて、私の気持ちと相容れない。同じ説明をしたはずなのだが、こうも弁護士によって考え方が違うものなのか…。友人には悪いが、もう気持ちは決まってしまった。


再度、用賀の弁護士に連絡を取った。
「先生、やっぱり私はもうこれで終わりにしたのです。“しがらみ”を残したくないのです。だから、仰っていた『寄せて分ける』いう方法を先方に提案してもらえませんか?」

「わかりました。ではその旨を伝え、遺産分割協議の手続きをとりますね。少し長引くかもしれませんよ。それから、代償金については一定の譲歩は免れません。それは覚悟の上でお願いします」

「わかりました。」
これで終わってくれるなら、今は耐え忍ぶしかない。(続く)

法律用語解説:遺産分割協議
「相続財産をどのように分けるか」を、相続人全員で話し合って決めること。被相続人(亡くなった方)が自筆遺言証書を残していれば、原則、それに従い遺産を相続するが、今回のように遺言書が無かった場合、被相続人が亡くなった瞬間に相続人全員の法定相続分の割合で共有していることになる。この遺産分割協議で全員が合意できなかった場合は、家庭裁判所で遺産分割調停することになる。
ちなみに相続税の申告期限(相続開始を知った日の翌日から10ヶ月)までに、遺産分割協議が成立しないと、相続税の諸々の軽減措置が受けられなくなることがあるので注意。


法律ショートストーリー法定相続人①はこちら
法律ショートストーリー法定相続人③はこちら




いろいろな迷いがある時はセカンドオピニオン的に、違った見解を聞くことで気持ちが固まることもあります。
では次週はいよいよ、このシリーズ最終話。調停でどんなクライマックスを迎えるのか…?
お楽しみに!